(ブルームバーグ): 2日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=161円台半ばで推移。米国で先週の大統領選討論会を受けた長期金利の上昇が続き、一時161円台後半と約38年ぶり安値を更新した。日米金利差を背景に円売りが止まらない状況で、政府・日本銀行による口先介入や円買い介入への警戒が強まっている。

  三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、かなり円売りが根強い状況だとし、「何かしら対応しないと円安が長引くリスクが高まっている」と指摘。1ドル=160円を下回って急速に円安が進む中、「162円から163円はあるとみていたので、ここから投機的な動きで円安が進むようだと介入が入ってもおかしくない」との見方を示した。

  1日の円相場は、米長期金利の上昇を受けて先週末に付けた約38年ぶり安値161円27銭を下回った。米大統領選のトランプ氏優勢との見方から財政拡大とインフレ率上昇への警戒が強まっている。米供給管理協会(ISM)製造業景況指数が弱い内容となり、円は一時161円ちょうど付近まで買い戻されたが、米金利が一段と上昇する中、161円73銭まで下落した。フランス下院選挙を受けたユーロ買い戻しも円の重しとなり、対ユーロで173円67銭と過去最安値を更新した。

トランプ氏が勝利ならイールドカーブはスティープ化-モルガンS

  2日の東京市場では、金融機関が外為取引の基準レートとする公示仲値の設定にかけて実需やリアルマネーのドル買いも警戒され、日本の通貨当局による円安けん制発言のトーンが強まる可能性がある。過去1週間で159円台半ばから2円以上も円安が進んでおり、実弾介入の現実味も高まりそうだ。

  一方、この日は欧州中央銀行(ECB)フォーラムのパネル討論会に出席するパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言や米求人件数の発表が注目される。三井住友信託銀行の山本氏は、米個人消費支出(PCE)価格指数に対するパウエル議長の発言が注目されるものの、「今後もデータを慎重に見極める姿勢を継続する可能性が高い」とみている。

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