5年前、親しくしている仲宗根糀家(こうじや)(那覇市)の仲宗根悦子社長から、おからでできたみそをいただいた。まさかこれがきっかけで、みその製造をはじめることになろうとは、当時の私は思いもしなかった。

 おからでできたみそは一般的なみそとは違い、ベタつかず、ぬか床に似ている。試しに野菜を漬けてみると、一晩でおいしいみそ漬け野菜ができた。感動した私はすぐに悦子社長に電話し、ぜひ商品化してほしいとお願いしたほどだ。

 それから1年後、新型コロナで世界は一変。休業し、やってきたことを見直す中で、私は気付いた。これまでたくさんのおからを捨ててきた!と。

 と言うのも、浮島ガーデンはオープン以来、島豆腐をひき肉風にした「ベジタコライス」を作ってきたからだ。豆腐1丁に対し、その1・3倍の量のおからが発生する。そのうち食用は1%にも満たず、25%が肥料、65%が家畜のエサになっているという。

 しかし、地域差があり、県南部には畜産農家はほとんどいないため、南部の豆腐屋はおからを産業廃棄物にせざるを得ないことがわかった。

 沖縄は豆腐の消費量が全国1位。おからの排出量も全国一だろう。八重山では昔、おからやヌカを使った「ギーミシュ」と呼ばれるみそがあったそうだ。栄養価の高いおからを捨てるなど、物資不足の時代にはありえなかったのだ。

 今、気候変動による食糧難の到来も予測されている。おからを無駄にしてはならない。みそという誰もが食べる発酵食品にすれば、健康にもつながる!と、自信はなかったがトライした。おかげさまで「島豆腐のおから味噌床」と名付けたみそは、発酵ブームもあり、県外でも需要が高まっている。

 そしてこの夏、新たなおからみそが誕生する。私が関わっている那覇市寄宮の地域拠点「よりみん」が製造販売を開始する。

 目下の夢はおからみそを給食に取り入れてもらうこと! 食育と子どもの健康につなげたい。

(浮島ガーデン店主)

次回は仲本和美氏(仲松ミート執行役員)です。

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