(ブルームバーグ): 複数の大手米銀が28日、増配を発表した。これらの銀行は2日前、連邦準備制度理事会(FRB)による今年のストレステスト(健全性審査)を難なく通過していた。

  ストレステストでは大手31行全てが、仮定に基づくリセッション(景気後退)を通じ最小限の資本要件を上回ったと判断された。増配を発表した銀行にはJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス・グループ、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレーなどが含まれる。

  JPモルガンとモルガン・スタンレーはそれぞれ最大300億ドル、200億ドル規模の自社株買いプログラムが取締役会に承認されたことも明らかにした。

  資本バッファーに対するFRBのお墨付きを得て、銀行は増配や自社株買いといった健全な株主還元が可能となった。銀行では今年、資本規制「バーゼル3」の最終化が緩和されるとの見方からすでに株主還元が強化されていた。

  FRBは配当と自社株買いに関する各行の計画発表がニューヨーク時間28日午後4時半(日本時間29日午前5時半)以降になるとの見通しを示していた。

  ストレステストは2008年の金融危機を教訓として実施されるようになったもので、今年は資産規模が1000億ドル(約16兆円)以上の31行を対象とした。想定される「最悪」シナリオでは、最も質の高い規制目的上の自己資本と見なされる普通株等ティア1(CET1)比率がグループ全体で9.9%にまで落ち込むものの、最小要件の4.5%を大きく上回ったとしている。

  各行が難なく通過したとはいえ、ストレステストは依然としてエコノミストや政策当局者の間で激しい議論の的となっている。銀行政策研究所(BPI)の調査責任者フランシスコ・コバス氏によると、FRBのモデルにおける過度のボラティリティーは、そのシナリオと試験をより厳しい監視の対象とすべきであることを意味するという。

原題:Biggest US Banks Boost Payouts in Wake of Fed Stress Test (2)(抜粋)

--取材協力:Katanga Johnson.

(ゴールドマンなどを追加して更新します)

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