来年の大阪・関西万博まで300日を切るなか、実施主体の博覧会協会が“強気の姿勢”に打って出ました。独自パビリオンの建設が遅れている一部の参加国に対し、貸している敷地を“強制的に返却”させる方針であることが分かりました。
■参加国の相談を受け付ける窓口「ワンストップショップ」は好評
【自見英子万博相】「着実に準備が進んでいると感じています。引き続き努力して、成功に導いていきたい」
自見万博担当大臣は25日、来日しているBIE(博覧会国際事務局)のケルケンツェス事務局長と面会。
【BIE ケルケンツェス事務局長】「『きのう(24日)から設置されたワンストップショップが非常に助かる』参加国から聞いている。感謝したい」
ケルケンツェス事務局長は、参加国からの相談を万博の閉幕まで受け付ける窓口「ワンストップショップ」を24日から設置したことについて謝意を述べました。
■パビリオン建設 進んでいる国も、建設業者が見つかっていない国も
大阪・関西万博の開幕まで6月25日時点で「292日」。20日に撮影した会場となる夢洲の映像を見てみると、パビリオン建設が進む国がある一方、いまだ更地のままとなっているところも少なくありません。
当初60カ国が出展を予定していた独自パビリオンですが、イランに加え、新たにインドが建設を断念したことが分かり、49カ国になっています(関西テレビの取材による)。
さらに、このうち10カ国程度は建設業者すら見つかっていません。
関係者によると、博覧会協会がこうした国に現状を聞き取り、建設が間に合わないと判断した場合は、貸している敷地を強制的に返却させる方針であることが分かりました。
【博覧会協会 櫟真夏副事務総長】「お客さまを安全にスムーズに受け入れられないことは回避したい。タイプA(独自パビリオン)建設の国々には、それを実現するようにしてください、それができないのであれば、開催者としてお客さまを迎える責任がありますので、その責任を果たすための手段も考えていかなければなりませんとお伝えしています」
奈良市では25日から参加国が一堂に会する国際会議が始まりましたが、一部の国からは困惑の声が聞かれました。
【独自パビリオンを建設 ポーランドの万博担当者】「ポーランドのパビリオンは複雑で、(開幕まで)間に合うのかがすごく気になっているところです。どうしても(独自パビリオンの)実現までいきたい」
また、協会は建設業者が決まっているものの開幕までに間に合わないと判断した国も返却の対象とする予定で、独自パビリオンの数がさらに減ることも予想されます。
■独自パビリオン建設の“レッドライン”は過ぎている タイプXへ移ることで解決できるか
博覧会協会側としては、開幕までに間に合わせないといけない“焦り”のようなものが感じられます。
【関西テレビ 神崎報道デスク】「いまだに建設業者が決まってないというのは、実はすでにレッドラインを過ぎているんですね。ですのでここで、ちゃんと諦めてもらうというのが今回の声掛けだと思うんです。ただタイプAという独自パビリオンを諦めたとしても、協会側が用意したタイプXはまだいくつか空きがあり、せっかく用意したタイプXが空いているのは協会側としても困るので、そこに入ってもらうと、ひとつ順当な方法なのかと思います」
ここまでの過程で、博覧会協会が遅れている参加国に対して寄り添うようなアプローチをしてきたのかどうかということに関しては検証してほしいと思います。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年6月25日放送)
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