女性の社会進出に政府も力を入れている中、ある講座が話題を呼んでいる。それが、日本経済新聞社が主催する「女性の社外取締役育成講座」。社外取締役とは、社外の人材を起用することで、利害関係やしがらみに関係なく経営を監視するという役割が期待されている。『あなたを経験0から社外取締役に導く』というキャッチフレーズの下、各分野の専門家を講師に招き、全12回の講座が用意されている。
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今回議論となったのが、会社の実務に関わる講座が並んでいる中で、「エグゼクティブにふさわしいヘアメイクやスタイリング」の講座があること。「ヘアメイクより学ぶことがあるのでは」「投資家や株主が見たら怒りそう」「目指すより請われてなるものだろう」など疑問の声があがっている。
女性の企業経営参画には何が必要なのか。研修や勉強でどこまで身につくものなのか。『ABEMA Prime』で育成講座に参加した経験のある当事者とともに考えた。
医療従事者の求人情報サイト「医師のとも」社長の柳川圭子氏。2012年に起業後、2017年にMRTに株を売却して子会社となり、親会社の役員会にも参加している。「社外取締役とのやり取りがある中で、どういう視点で私たちを見ているかを学びたいと思った。また、私自身が他社の社外取締役をすることで、その学びを自社に活かすことができるのではないかと思った」と、受講した経緯について話す。
内容は、社会取締役の基礎知識講座、役会での振る舞い方・考え方講座、参加・実践型ワークショップ・事例研究、現職女性の相談受け付け・アドバイスなど。「他社の社外取締役の方とお話しをすることで、雰囲気や自社との違いが見えた。自社以外の取締役会に出たことがあるという方はやはり少ないだろう。1人が出られる数にも限りがある。こういう場で情報交換して、日本全体の会議のレベルを上げていくことはすごく意味があると思う」と振り返る。
ヘアメイクやマナーに関する講座はなかったというが、「そういうところも学びたかった」そうだ。「どんな話をしても、“あんなちんちくりんに言われたくない”みたいな陰口を言われてしまうのが現実だ。また取締役会が3、4時間あろうと、社外取締役が話す時間はせいぜい1〜3分だろう。その時間の中でどれだけインパクトを残せるかを考えると、見た目や話し方、“その人の話を聞こう”“この人の言ったことをやらなければ”と思わせるようなものは必要だと思う」と述べた。
日経新聞は講座について、「社外取締役経験者などから『日本では学ぶ場が少ない』として要望が多かった」としている。教育者で京都精華大学前学長のウスビ・サコ氏は、「能力がある女性は多くいるが、自分からアクションを起こしづらく、アファーマティブアクション(積極的差別是正措置)を起こす必要がある。トレーニングを受けることで、“やってもいいかな”という気持ちになる。これまでは男性が多かったと思うので、女性が加わることで一歩進むのではないか」との見方を示す。
パックンは「今の社会では“女性のメイク・振る舞い”というものが、残念ながら求められてしまう。男性のように足を広げて座ることは、どんなに実績がある人でも許してくれない」と指摘。一方で、「こういう講座があることで“今までの女性像が理想である”“こうではなくてはいけない”と、男女差別に加担するようなことはいけない」と懸念を示した。
これを受け柳川氏は「“今の自分にはまだ務まらない”と感じながら受ける方も、“まずは起業してみよう”“何かファーストステップを踏もう”というきっかけになる方もいると思う。“女性登用”が単なるブームで終わるか、やってよかったとなるかは、全員の努力によるところが大きい。その人の優秀さを証明するために、一瞬の佇まいや雰囲気づくりはやってもいいし、そこから徐々に信頼関係ができてくると思う。パフォーマンスではなくて、社会全体が考えてくれた時にこの政策が成功すると思う」と述べた。(『ABEMA Prime』より)
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