■万博「パビリオン」問題 費用回収に黄色信号

大阪・関西万博で、出展する国の負担を減らすために、博覧会協会が提案していた簡易型のパビリオン。
しかし、想定よりも希望する国が少なく、整備費用などを回収できないおそれがあることがわかりました。

大阪・関西万博で、独自のパビリオンの出展を予定していた国は、当初60カ国でしたが、国内事情などで断念する国が相次ぎ、現在は52カ国となっています。

そこで、独自パビリオンを断念した国などに、博覧会協会が提案しているのが、協会が代わりに建設して出展する国に引き渡す、簡易のパビリオン「タイプX」です。

「タイプX」は9棟建設中で、費用は出展する国が負担するはずでしたが・・・これまでに、ブラジルなどの3カ国しか手をあげていません。

関係者によると、このままでは「タイプX」のすべての費用を回収することは難しい見通しであることがわかりました。

回収できなかった分は、会場建設費の予備費130億円から出す案が出ています。

【大阪府吉村知事】Q予備費からねん出する可能性についてはどのように考えているか?
(「タイプX」で)3カ国が決定している。現状もいろいろな国との交渉があると聞いているので、まずはそこによる。できるだけAタイプ(独自パビリオン)を希望していた国にもXタイプなどを活用できればよいと思う」

吉村知事は今月末の理事会で協議する予定だとしました。


■独自パビリオン建設予定の12カ国は、建設業者すら決まらず…

一方、独自のパビリオンを出展する12カ国は、まだ建設業者すら決まっていません。

吉村知事は、ことし4月、万博開催後も一部工事を行う可能性もあるという認識を示していました。

しかし18日、博覧会国際事務局の総会で、万博協会の石毛事務総長は

【石毛博行事務総長】「万博開始後は大がかりな工事はできない」

夢洲は、工事車両の進入に制約があり、場所も狭いことが理由です。


■新たなパビリオン「タイプウッド」を木材連合会が提案

すべてのパビリオン建設が間に合うか、いよいよ瀬戸際に・・・そんな中、救世主とも言える、新たなパビリオンの建設プランが・・・

【大阪府木材連合会津田潮会長】「われわれ提案したのがタイプウッドというもの。時間をかけないでいいものを作ろうと」

大阪府の木材業者などを取りまとめる、大阪府木材連合会が提案したパビリオン、その名も「タイプ・ウッド」。

一般的な住宅などに用いられる資材を使うため、手配に時間がかからず、短い工期で完成するうえに、鉄骨で作るより費用も安いということです。

現在の木材連合会の会館も、「タイプウッド」とほぼ同じ工法で作られたものです。

連合会は、木材の調達や設計、建築に必要な申請など、出展する国を一連でサポートするといいます。

【大阪府木材連合会津田潮会長】「早くわれわれとコンタクト取って、早く打ち合わせをして、早く合意に至って進める。今が一番最後のチャンスと思う」

果たして、来年4月までにすべてのパビリオンが完成した状態で、開催を迎えられるのでしょうか。

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