行列の先にあるのは人気の「海鮮丼」です。今、旬の魚に異変が。海鮮丼にも大きな変化が起きています。
■大行列の「海鮮丼」に異変
毎日、長い行列ができる大人気の魚食堂。
皆さんの目当ては千葉県の銚子漁港直送。プロの買い付け人が仕入れた新鮮な魚がぎゅぎゅっと詰まった海鮮丼。定食で1380円。
この日のネタはヒラメにカツオ、スズキ、キンメダイ、メダイ、マトウダイ、生本マグロ、ホウボウ、全部で8種類とボリューム満点。
食べた客
「色んな種類が乗っていてお得感」
ところが、店主からは嘆きの声が…。
さかなめし 竹内正子店主
「多い時は10から11種入るが、こっちが欲しいと思っても取れない魚が増えている」
海鮮丼に使いたい魚が銚子漁港で手に入らないことが多いといいます。そのため海鮮丼は日替わりで本来、旬である食材を入れられないことも。
なかでも“入梅イワシ”と呼ばれる梅雨の時期に取れるイワシは脂が乗っている旬の食材。しかし、今月はほとんど入荷できずにいます。
さかなめし 竹内正子店主
「こちらが“入梅いわし”を入れると決めていたとしても(港に)揚がらなければ入れられないので、ある魚でしかできないので、海鮮丼の(ネタの)数を減らすしかない」
■いまが旬“入梅いわし”水揚げ激減
17日朝、銚子漁港ではしけの影響もあり、水揚げの漁船が少ないなか漁業関係者は今月の異変を口にします。
漁業関係者
「入梅の時期に“入梅いわし”が全然揚がらない」
これまで梅雨の時期にあたる6月から7月に水揚げされてきた“入梅いわし”。しかし、今年、イワシの水揚げは4月をピークに5月、6月と激減しています。
千葉市から来た客
「甘みがあって、すごくおいしい」
地元の料理店は“入梅イワシ”を確保するのに四苦八苦しています。
いわし 地魚料理 香海 畠山智店主
「温暖化で、昔は銚子沖に漁場があったのが、どんどん(イワシが)北に行っている。だから今、大きい船は八戸、三陸あたりに行っている。あまり大きくない船が銚子沖で取っている」
別の店では予約客のみにイワシ料理を提供しています。
予約をしていないお客さん
「イワシを食べに来たけど、残念」
七兵衛 清水俊和店主
「申し訳ないと思うが、準備したくてもできない状況。たっぷり脂が乗ったイワシが取れなくなっちゃう危機感はある」
■旬の“入梅いわし”「入荷ゼロ」
魚市場では…。
銚子もん 佐藤則裕社長
「これしか買えなかった」
「(Q.これ何ですか?)ヒラメ。他の魚は高くて駄目だ」
魚食堂の仕入れを行う買い付け人は海鮮丼の“入梅イワシ”を求めてきましたが…。
銚子もん 佐藤則裕社長
「きょうはない。イワシはゼロ。本来、今の時期だが、商品にするようなイワシは出会えていない」
■海水温の上昇でどんどん北上
専門家は地球温暖化による海水温の上昇が影響していると指摘します。
元水産庁職員 東京海洋大学 上田勝彦客員教授
「マイワシは15から20℃の比較的低い水温を好む。イワシは水温と潮流によって、ものすごく素直に移動する。全体としては高水温の傾向にある。魚たちがこぞって北上している」
さらに、今年は梅雨が遅れていることで…。
元水産庁職員 東京海洋大学 上田勝彦客員教授
「梅雨に順当に雨が降らないと、陸上から流れる栄養を含んだ水が少なくなる。供給されないので、それをもとに発生するイワシの餌(えさ)であるプランクトンが少ない。餌の分布にばらつきが出ている」
現場では魚が取れなくなる危機感が高まっています。
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