福島県いわき市のJRいわき駅前で6月8日から行われているのは、「いわき駅前公園化計画」という取り組み。歩道には芝生が敷かれ、テントも設置されている。いったい、何を目指した取り組みなのか?
これは“ほこみち”と呼ばれる制度の活用を目指す取り組み。
2020年に創設された“ほこみち”歩行者利便増進道路制度は、道路を「通行」以外の目的で柔軟に利用できるようにするものだ。通常は歩道などを活用する際には、「道路占用許可」の申請が毎回必要になるため一定のハードルがあった。しかし、“ほこみち”に指定されると、申請は必要だが、許可がスムーズに取れるようになるという。
また、この制度を適用すると、ほこみち内に指定された特例区域にオープンカフェやベンチなどを設置することができる。
県内で初めての“ほこみち”指定を目指すいわき市から伝える。
JRいわき駅前大通りの一部、約300メートルに渡り歩道にはくつろげるスペースが設けられている。人工芝が敷かれていて机やイスも用意されているので、ここで友人と話したり、近くにある飲食店からテイクアウトで食事をしたり、歩道が憩いの場になっている。今度の日曜日16日まで、「ほこみち」の指定に向けて歩道の新たな過ごし方を提案している。
12日も年齢を問わずこの場所で思い思いの時間を過ごしていた。専門学生は「いいと思います。コミュニケーションとかもより取りやすくなったり、みんなで集まれる時間が増えるなって思いました」と話し、ハンモックで遊ぶ男の子は「結構気持ちいです。皆がいつもより自由に過ごしてる感じがいいと思いました」と話す。女性は「外の風を感じながら、お酒を飲めるっていうのは個人的にはすごく好きなので、フラっと来て、フラっと飲んでちょっと楽しんで帰れるっていうのはいいかなと思います」と話した。
「ほこみち」の指定に向けて取り組む、たいらまちづくり株式会社の山崎建見さんは、取り組み2年目の手応えとして「イスとテーブルを置いただけでも、意外とみなさん座ってくれる」と話す。また北林由布子さんは「公園のように街全体が市民の居場所となり、やりたいことが表現できる場所になるといい」と話した。
この「ほこみち」が新たな出会いや発見の場となり、多くの人でにぎわうことに期待したい。
<ほこみち制度3つのポイント>
・モノを設置可能。地域の人が必要なものを自治体などの道路管理者に提案することができ、地域交流につなげることができる。
・道路使用者を公募可能。公募した場合、道路を使える期間は最長20年となる。
・占用料の減額。国道の場合は最大90%減額されるため、民間事業が活用するハードルがグッと下がる。
民間の参入が容易になるだけでなく、カフェなど設置する場合は、長期的な計画が立てられそうだ。
全国的に”ほこみち”は増えている。
<宮城県仙台市の事例>通常時はテーブルやベンチを設置し誰でも使える休憩スペースだが、年に数回イベントを開催しマルシェが並んでいる。市の担当者は「今まで『通る』だけの道だったが、人の流れができ賑わいを見せている。街の活性化にもつながっている」と話していた。
道路空間を活用することによって街も盛り上がりそうだ。「みち」から広がる「まち」の可能性に今後も注目だ。
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