秋田県湯沢市の老舗漬物店「雄勝野きむらや」が、4月27日に東京で行われた漬物の日本一を決める大会に挑んだ。

その漬物が「みずの実っこ」。山菜の「ミズ」の実が使われていて、コリコリとした食感であっさりとした味わい。店は「山の香りを感じられる」とうたう。

こうした点が評価され、「みずの実っこ」は大会のグランプリに輝いた。商品と大会にかけた思いを聞いた。

湯沢市の漬物店「雄勝野きむらや」は、秋田を代表する発酵食品「いぶりがっこ」を中心に、地元の野菜などを使った漬物を製造・販売している。

看板商品の一つが「みずの実っこ」。湯沢市や由利本荘市東由利で採れたミズの実を1カ月以上熟成し、しょうゆで漬け込んだもの。約30年前に誕生した、いわば「ロングセラー商品」だ。

雄勝野きむらやは4月、「みずの実っこ」で漬物の日本一を決める大会に挑んだ。

 雄勝野きむらや・木村吉伸社長:
「秋田ならではのもの。いぶりがっこもだが、地域で日常的に食べられているものを持って行ったほうが、実は競争力があるのではないかと」

2017年から全日本漬物協同組合が開いている「漬物グランプリ」。

4月27日に東京で行われたことしの大会では、雄勝野きむらやの木村吉伸社長と入社2年目の加藤美空さんが「みずの実っこ」の魅力をPRした。

審査のポイントは「漬物文化の魅力を伝えているか」「健康に配慮しているか」「四季の味を表現しているか」など。

加藤さんは「ミズ」の価値を説明した。

ミズを採るには山に入らなければならないが、クマの目撃情報が爆発的に増えているため採る人が少なくなっているほか、記録的な暑さなどが生育に影響している。

また、木村社長は“秋田弁”を交えて魅力を表現した。

 雄勝野きむらや 渉外担当・加藤美空さん:
「素材の量も減っているので、希少価値の高い商品をつくっていくのと同時に、秋田の山里の持続可能な里山づくりに着目してプレゼンテーションを行った」

プレゼンテーションと審査員による試食の結果、「みずの実っこ」は全国112点の漬物の中から、県内で初めてグランプリを獲得した。

地域に伝わる食文化を継承している点と、コリコリとした食感の楽しさが高く評価されたという。

 雄勝野きむらや・木村吉伸社長:
「最後の最後に名前が読み上げられたとき、本当にびっくりした。商品をよく評価して、よくぞ選んでくれましたという感じ」

 雄勝野きむらや 渉外担当・加藤美空さん:
「グランプリを取れて、持ち帰られる達成感と安堵(あんど)感があった」

今回は伝統の味で日本一に輝いたが、雄勝野きむらやは様々な挑戦にも乗り出している。

5月はいぶりがっこの漬け汁を使ったクラフトビールを発売したほか、6月には日本航空の国際線の機内食で「いぶりがっこ」を使ったメニューを提供する。

 雄勝野きむらや 渉外担当・加藤美空さん:
「漬物を通して、秋田にこんな面白い野菜があることや、山菜などの秋田の食文化を知ってほしい」

「みずの実っこ」は県内各地ではもちろん、今後は東京での販売も予定しているという。

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