いま次世代の新エネルギーとして「水素」が注目されている。

4月12日、都内にオープンしたこちらのレストランでは、水素を燃やす専用の機器で調理が行われている。燃やしても二酸化炭素を出さない上、 燃焼温度が高く、ニオイがないことが特徴で調理用として新たな活用も進んでいる。 さらに    福岡県・北九州市では、水素とバイオ燃料で動く日本初の商用運航の観光船「HANARIA(ハナリア)」が 10日に運行を開始した。小倉港と門司港を出発し、夜景などを巡る4つのルートで運航する。 

先月27日には、東京・晴海に水素ステーションが解説された。実用段階では国内初となるパイプラインでの水素の供給で、オリンピック選手村を再整備したマンションや商業施設などで使用されることから、環境先進都市モデルとして注目されている。

「水素」の実用を加速するため、水素取引所設置に動く小池都知事は2024年2月、再生可能エネルギー100%、いわゆるグリーン水素の製造・輸出の拠点へとシフトする構想で、オーストラリア・ニューカッスル港を視察。「日本にとっても、 ここから水素の積み出しにどう繋がるか。 一大変化ですね」と述べた。

水素エネルギーへの大転換は全国へ普及し始めている。 

福島県・浪江町では「なみえ水素タウン構想」のもとトラックで運ばれた水素ガスを使って店舗の電気に使用している。浪江町内の別の宿泊施設にある大浴場では、水素を使う燃料電池の熱でお湯の一部を温めていて、水素の湯として親しまれている。 

山梨県では、水素を燃料とする電動アシスト自転車の実証実験が行われている。 実験は年末まで行われ、実用化を目指る。

さらに東京大学・先端科学技術研究センターの研究室とオーストラリアに、それぞれ1台ずつしかない、世界初の家庭向け水素エネルギーシステムは一台で家5〜6軒分のエネルギーを供給できる。このシステムは電気で水素を製造する水電解装置に加え、水素を貯蔵するタンク、水素で発電する燃料電池、発電した電気を蓄えるリチウムイオン電池などを備えていて、水素の製造から発電までのサイクルを1台で対応している。

開発を進める 東京大学の河野教授によると、内蔵されている水素をためるタンクには「水素吸蔵合金」という特殊な素材が使用されていて、ここに水素を貯めておくと燃えないのだという。そして爆発もせず、安全に水素をためられるという。河野教授によると、このタンクを使えば水素を半永久的に保存することも可能だということで、一般家庭のみならず病院などの非常用発電機としての活用も期待されている。

8日には東京・大田区にも水素ステーションが開業される。二酸化炭素を排出しない燃料電池車に短時間で水素を補給できるなど水素社会実現に向けた取り組みが進んでいる。

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