これから夏にかけて旬を迎えるシャインマスカット。しかし、早くも市場に出回っています。今、ある工夫で、一足先に出荷しているのだそうです。シャインマスカットを一年中味わってもらいたいと奮闘する人たちを取材しました。
■改良重ね…ようやく安定した収穫実現
はちきれそうなほどたわわに実り、エメラルドグリーンの見た目も美しい“シャインマスカット”。
マルエス農園 三枝亮代表 この記事の写真 マルエス農園 三枝亮代表(37)「今年は房もちもよくて玉張りも天候に恵まれて良い形。出荷も5月の頭くらいからスタート」
通常、夏から秋にかけて旬を迎えますが、山梨県甲州市のマルエス農園では、早くも収穫と出荷をスタートしています。
実は、非常に難しい…旬の先取りを可能にしているのが“ハウス栽培”。しかし、生育状況に合わせた細かな温度管理が非常に難しいといいます。
三枝代表「ハウスの中で春夏というふうに季節を作っていくような形で管理」 試行錯誤の連続だった
6年前に脱サラして、シャインマスカット農家になった三枝さん。しかし、もともと生育が難しいシャインマスカット。時期をずらしての栽培はより難しく、その道のりは試行錯誤の連続だったといいます。
生育管理が難しい 三枝代表「温度の管理とか、あまりブドウの玉が張らなかったり、生育管理がすごく難しくて。毎年毎年、うまくとれればいいんですけど、そうじゃない年もある。5000房獲ろうと思ってた畑が1000房しか実ってなかったとか」
限界を感じた三枝さんは、山梨県の果樹試験場で2年間学びながら、1月の生育スタートを11月に早めるなど改良を進めました。
三枝代表「毎年本当に勉強なんですけど、天気に対しての湿度管理とか、生育がちょっとおかしいなと思えば温度を変えたり、毎日畑を見ながら調整をしていく」
さらに燃料費や資材コストの高騰といった問題も抱えながらも、今年、ようやく安定した収穫を実現させたのです。
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■円安影響で…海外売れ行きも好調■円安影響で…海外売れ行きも好調
旬を先取りした三枝さんのシャインマスカット。その味は…?
その味は? 紀真耶アナウンサー「甘いですね!」 三枝代表
「甘いですね、よかった(笑)甘くなかったらどうしようかなと」 紀アナ
「旬ですよっていわれても納得する味です」
ハウス栽培には、「旬の先取り」以外にもメリットが…。
三枝代表「年間の生産量は格段にあがります。うちの会社で年間だいたい15万房くらい」 ハウス栽培のメリットは…
一般的な露地栽培と比べて、収穫量はおよそ3倍。年間を通して作業を分散できるため、人手も半分ほどで済むそうです。5月収穫のもので卸価格は1房8000円ほど。市場価格はおよそ1万5000円と少し値が張りますが、お得に手に入れる方法も…。
ふるさと納税も 三枝代表「ふるさと納税をよくやってるんですけど、ものすごい量頼まれる方もいる。6月の中旬くらいから出荷スタートという形でお客さんにうたっています」
円安の影響で海外向けの売れ行きも好調だということです。
三枝代表「6月からスーパーに結構並び始めると思うので、夏を先取りしていただいて、今年のシャインマスカットをみんな楽しんでいただきたいなと思っています」
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■20種類の品種掛け合わせ…「1年を通してブドウを」■20種類の品種掛け合わせ…「1年を通してブドウを」
シャインマスカットに情熱を注ぐ人は、他にも…。
志村葡萄研究所 志村晃生代表 志村葡萄研究所志村晃生代表(45)
「(Q.これはいつ頃、収穫したもの?)(去年の)10月7日ですね」 次世代のシャインマスカット
なんと半年以上前に収穫したものがおいしく食べられるというのです。それが、ブラックシャインマスカットの「富士の輝」。巨峰のような見た目ですが、次世代のシャインマスカットとして今、注目されています。
生みの親は、山梨県・笛吹市でこれまでに30種類以上の品種を開発してきたブドウのプロ、志村さん。
志村代表「だいたいで1キロくらい」 値段は…
値段は1房およそ1万8000円と超高級品ですが、中には糖度が30度を超えるものも…。
志村代表「これだけのブドウは今の日本にはないですよね」 長期保存に挑戦
一年中シャインマスカットを楽しめるよう長期保存に挑戦してきた志村さん。およそ20種類の品種を試すなかで成功したのは、シャインマスカットと丈夫な品種をかけ合わせたこの品種のみでした。
志村代表「ここまでもたせるとなるとカビが発生してしまって、なかなか(他の)品種には難しかったです」 半年以上の保存が可能に
3年におよぶ試行錯誤の末、結露を防止する特殊な袋に入れ、0度から1度の冷蔵庫で保存。これにより10月の収穫で3月までだった保存期間を、5月までおいしく保てるようにしたのです。
志村代表「肉質がすごいしっかりしているんですよ。なので湿気にも負けない」
志村さんは今後、さらなる長期保存に向けて研究を進めていくと話します。
さらなる挑戦を… 志村代表「やっぱり少しでも山梨で長くブドウが食べられるようにさらに目指していけたらなと思っています。もう少しで1年を通してブドウが食べれるのも近くなってきたかなと」
(「グッド!モーニング」2024年5月25日放送分より)
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