舞台は、大阪府。奥行き23メートルもある細長い“うなぎの寝床”に建つ、ガルバリウム鋼板の高い壁で覆われた工場のような建物。中は、「仕事も子育ても全部ごきげんに欲張りたい」という妻が提案した、明るく開放的でストレスフリーな最新二世帯住宅になっている。
住人(アルジ)は昨年、二世帯住宅を建てたファミリー。夫妻と2人の子ども、さらに夫の両親という大所帯での生活をスタートさせた。
家が建っているのは、以前は夫の母の実家と工場があった場所。元は100坪の広い土地だったが、母の弟と土地を半分に分割したため、間口6メートル、奥行き23メートルという縦に細長いいわゆる“うなぎの寝床”の形になった。建物はガルバリウム鋼板の高い壁で覆われ、窓がほとんどない工場のような外観だ。
門を開けると、17メートルもある通り庭がある。子どもや犬が走り回って遊ぶことができるスペースで、吹き抜けからは明るい光が差し込む。
玄関は二世帯で共有。しかし玄関以外の生活スペースは全て分けていて、2階が子世帯、1階が親世帯の完全分離型になっている。
実は、夫の両親との二世帯住宅を提案したのは妻だった。夫妻は東京の会社で同期として知り合い結婚、東京のマンションで暮らしていた。人材派遣会社の営業職の妻は現在も15人の部下を持つチームリーダーであり、モットーは「子育ても仕事も、全部ごきげんに欲張りたい」。そこで、子育てをしながらキャリアを築いていくために、親を巻き込んで、二世帯の生活にしたいと考えた。
一方、妻の提案を聞いた夫の両親は、まだ50代で仕事も現役世代ということもあり、正直戸惑った。だが息子夫妻が掲げる「いつもごきげんさん」というポジティブな考えに共感し、同意したのだという。
子世帯が暮らす2階にあるのは、広々としたリビングダイニングキッチン。大きく開けた窓の外はガルバリウム鋼板だが、この外壁が日光を反射するため、室内は想像以上に明るい。しかもこの一面の外壁のおかげで、外からの視線がなく、カーテンも不要なのだという。
キッチンは友人を招くことも多いため、大人数の料理も作りやすい広々とした空間に。ただ基本的に両親との食事は別々にしているそうで、もちろん1階にも料理好きな夫の母が使うキッチンがある。
1階の玄関横にあるのは夫の父の仕事部屋。タイル張りの個性的でおしゃれな空間になっている。実は父は大阪の天満天神繁昌亭や天王寺動物園のポスターなども手がける超人気イラストレーター。しかし、そんな仕事部屋の真上にあるのは……孫がよく遊ぶリビング。おもちゃの音などが響いて仕事に支障が出るときは、設置した「チャイム」を鳴らして注意を促す、というのが解決の秘策だ。
1階の親世帯が暮らすリビングダイニングキッチンも、2階同様広々としていて、目隠しのガルバリウム鋼板に反射した光も差し込んで明るい。特徴的なのは床の素材。硬い磁器質タイルで、飼っている犬の爪でも傷が付きにくく、滑りにくいのだという。しかも、窓を開けると通り庭から犬が直接室内に入れるという“ワンちゃんファースト”なリビングだ。
この家のよさについて、妻は「一番は心のゆとりができたところ。子どもにとってもすごくいい環境になったのが良かったと思います」と語る。住み心地にももちろん満足しているようで、妻は夫の両親に「私が一番気をつかっていない」と明かしたほどだとか。
最初は家族全員に驚かれた、妻発信の二世帯住宅。頼りにしつつもほどよい距離感でストレスを溜めないのが、みんなごきげん、の秘訣のようだ。(MBS「住人十色」2024年5月18日放送より TVerでも放送後1週間配信中)
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