ドジャース・大谷翔平選手の元通訳・水原被告が保釈の条件として求められたギャンブル依存症への治療。多くの州でスポーツ賭博が合法化されているアメリカではどのような治療が行われているのでしょうか。取材しました。

スポーツ賭博をしている男性
「ほとんど毎日賭けている。天気が悪いとスマホでも賭けるよ」

ニューヨーク北部にあるカジノの一角、スポーツギャンブル専用のエリアには平日にもかかわらず、多くの人の姿が。スポーツ賭博はアメリカのおよそ8割の州で合法になっています。節度をもって楽しむ人がいる一方で、アメリカの成人のおよそ1%、250万人が重度の依存症だと推定するデータも。

アメリカでは、ギャンブル依存症の専門の資格を持つカウンセラーが治療を行います。

ギャンブル依存症専門のカウンセラー ケイティー・カーチさん
「最初に、患者にとってギャンブルへの引き金が何かを特定します。引き金に接した時に対処できるように指導します」

カウンセラーのカーチさんと依存症から回復した元患者が、カウンセリングの様子を再現してくれました。

ギャンブル依存症専門のカウンセラー ケイティー・カーチさん
「とても高額な宝くじがあった場合、それでもあなたは買わないと言えますか?それとも買いたいと思いますか?」

「宝くじはやっていないし、買うことないと思うけど、次に収入が入った時にカジノでお金を使うことをやめたいんです」

カーチさんはギャンブル依存症のある特徴から、患者が治療に繋がりにくくなっていると危惧します。

ギャンブル依存症専門のカウンセラー ケイティー・カーチさん
「誰かを見て『きょうはギャンブルをしたのね』と言える明確な兆候はないですよね。患者は依存症であることに恥ずかしさと罪悪感を抱え、隠し続けようとします」

れっきとした病気であり、治療が必要にもかかわらず、誤った認識で個人の問題とみられてしまいがちなギャンブル依存症。

ブライアン・ドーランさん(34)も、カウンセリングを受け、回復した元患者のひとりです。

元ギャンブル依存症患者 ブライアン・ドーランさん
「自尊心の低さ、トラウマ、スポーツとの歪んだ関係の原因に気づきました」

大学生のころ、当時まだ違法だったスポーツ賭博にのめり込み、一時は500万円ほどの借金を抱えました。

元ギャンブル依存症患者 ブライアン・ドーランさん
「1が人生で最悪の日、10は最高の日だとします。たとえばバスケットボールをした時は7。でもギャンブルをすると15くらいになる」

ギャンブルを繰り返すうちに、人間の脳はより大きな快楽を得ようと“異常”な働きをし、個人の意思に関係なく止められなくなってしまうといいます。

ドーランさんは、時に嘘をついてしまったことも。

元ギャンブル依存症患者 ブライアン・ドーランさん
「私は『ねえお母さん、教科書代で1000ドル必要なんだ』と嘘をつきました。お金は教科書には使わず、ギャンブルに費やしました」

8年ほどかけて回復した今、ドーランさんはこう訴えます。

元ギャンブル依存症患者 ブライアン・ドーランさん
「一平は悪人になったわけではない。ただ彼は病気で、助けが必要なんだ」

ドーランさんは、水原被告が回復する姿を見せることで、偏見に苦しむ患者のロールモデルになってほしいと期待を寄せています。

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