イスラエル・アシュケロンで作動する対ミサイルシステム(ロイター)

【カイロ=佐藤貴生】イスラエル軍は13日夜、イランが100機以上の無人機をイスラエルに向けて発射したと述べた。イランの革命防衛隊は「広範囲にわたり報復のミサイルや無人機」を発射したとし、イスラエル本土攻撃に着手したことを認めた。

イランが発射した物体は14日未明にイスラエルに到達し、米CNNテレビはエルサレムに空襲警報が鳴り響く様子をライブで放映。防空システムにより物体を迎撃しているもようだと伝えた。

イランがイスラエル領内を直接攻撃したのは初めてとみられる。イランは4月1日、在シリアの大使館が空爆されたことを受け、イスラエルの攻撃だと断定して報復すると宣言していた。

半年前に始まったイスラム原理主義組織ハマスとイスラエルの戦闘は、互いに敵視し合うイランとイスラエルが攻撃を応酬する事態に発展し、中東はさらなる軍事的緊張に直面した。

イランのメディアは弾道ミサイルの「第1波」もイスラエルに発射されたと伝えた。一方、イスラエルのメディアは「相当な反撃」を行うという政府高官の話を報じた。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)はイスラエル情報筋の話として、イランのほかイラクからも無人機や巡航ミサイルが発射され、南部ネゲブ砂漠の空軍基地などが標的になっていると報じた。

イスラエルの戦時内閣はイランの攻撃開始を受けて閣議を開いた。ネタニヤフ首相は13日、「イランによる直接攻撃の可能性に備えている」と述べていた。バイデン米大統領も国家安全保障チームと情勢を協議したもよう。米軍当局者はイランから発射された無人機を撃墜したと述べた。撃墜した数や場所は明らかにしていない。

イランのアシュティアニ国防軍需相は、イスラエルの対イラン攻撃に領空や領土を使用させた国は「私たちの断固たる反撃を受ける」と述べて牽制(けんせい)した。イスラエルに隣接するヨルダンは、領空に飛来したミサイルや無人機は迎撃する方針を示した。

イスラエル軍は14日にもイランが攻撃に踏み切るとみて、最高度の警戒レベルを取っていた。政府は13日、翌14日以降の数日間にわたり、国内の全学校を閉鎖するなど、民間の活動を制限することを決めた。

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