北京市の中心部にある天安門=2023年2月22日午前11時42分、岡崎英遠撮影

 韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外相が13日、北京市で、中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談した。日米韓の連携強化で冷え込む中韓関係の立て直しについて協議した。聯合ニュースが伝えた。5月下旬にソウルで開催する見通しの日中韓首脳会談や朝鮮半島情勢も議題となった。

 韓国外相の訪中は2022年8月以来。聯合ニュースによると、趙氏は会談で「難題があっても対立に発展しないように管理し、協力の機運を継続しなければならない」と表明。王氏は「中韓友好の方向性堅持」を表明しつつ、米国の対中強硬姿勢に追従しないようくぎを刺した。

 米国との同盟関係を重視する尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が発足して以降、中韓関係は悪化しているが、両国は共に決定的な対立を望んでいない。久しぶりの韓国外相の訪中は、日中韓首脳会談の機会を生かし、中韓が関係の安定化を図る思惑で一致した結果と言えそうだ。中国には日中韓の実務協力を進め、米国の対中包囲網に対抗する意図があるとみられる。

 半島情勢を巡っては、韓国側が北朝鮮の核問題や緊密化する露朝関係について懸念を示し、中国に協力を要請。また韓国が問題視している中国当局による脱北者の強制送還についても提起した模様だ。

 中国は4月に最高指導部メンバーを北朝鮮へ派遣するなど中朝の緊密な関係を誇示することで日米韓をけん制しており、外交カードに利用する思惑もあるとみられる。【北京・河津啓介、ソウル日下部元美】

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