【ワシントン=大内清】米共和党のトランプ前大統領は12日、同党のジョンソン下院議長と南部フロリダ州の邸宅マールアラーゴで面会し、ウクライナ支援などを巡り共和党の内紛が続く議会情勢を協議した。面会後の記者会見でトランプ氏は、自身の影響下にある同党保守強硬派の反対で審議が滞るウクライナへの軍事支援について、無償供与ではなく「ローン(借款)」であれば認める余地があるとの考えを示した。
トランプ氏は会見で、「米国は何十億ドルも(ウクライナに)贈ってきた」と、これまでの軍事支援のあり方に不満を示したほか、「欧州は(米国と)同等の金額を出すべきだ」とも語った。
民主党のバイデン政権は、ウクライナ向けの600億ドル(約9兆2千億円)を含む総額950億ドルの支援法案を承認するよう議会に求めており、上院では超党派の合意により2月に可決された。しかし、共和党が多数派の下院ではトランプ氏に近い保守強硬派が頑強に抵抗。一部はジョンソン氏に議長解任動議の発動をちらつかせ、妥協しないよう迫っている。
12日の面会には、こうしたトランプ派の恫喝(どうかつ)に窮したジョンソン氏が自身の立場を守るため、トランプ氏に事態打開を懇願する意味合いがあったとみられる。
米議会専門紙「ザ・ヒル」によれば、ローンでのウクライナ支援案は以前から共和党の一部で取り沙汰されてきた。だが、ローン規模決定や制度設計のための新たな立法措置や、ウクライナ側との折衝などが必要となることから、共和党内でも「時間がかかりすぎる」(マコネル上院院内総務)との意見が支配的だ。
バイデン政権は、ウクライナへ供与する兵器は米国内で生産されることから、軍事支援が実質的には雇用創出や兵器産業の生産ライン近代化につながる「国内投資」になっていると説明。ウクライナの弾薬不足に対処するため、下院は迅速に支援を承認するべきだと主張している。
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