がれきの上に座る、けがをしたパレスチナの少年=パレスチナ自治区ガザ地区最南部ラファで2024年5月9日、ロイター

 イスラエルとパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスの休戦に向けた交渉で、米政府高官は9日、交渉が一時中断していると明らかにした。イスラエルとハマスの代表団はいずれも、交渉が行われていたエジプトの首都カイロを離れており、合意が期待された休戦交渉は再び行き詰まりの様相を見せている。

 米国のカービー大統領補佐官は「希望を捨てたわけではない。道は残されていると思うが、双方のリーダーシップが必要だ」と語った。仲介する米国やカタールなどは、交渉を今後も続けるとしているが、恒久的な停戦を求めるハマスと、「ハマス撲滅」を掲げるイスラエルの主張の隔たりは大きいままだ。

 イスラエルの政府高官は9日、カイロでの休戦交渉は終了したとの認識を示し、ガザ地区最南部ラファを含む軍事作戦を継続すると表明。イスラエルは7日にエジプトとの境界にあるガザ側のラファ検問所を制圧するなど「限定的な」軍事攻撃を続けている。一方のハマスは声明で、仲介国が提示した休戦案を承認する立場を維持していると表明。「ラファへの攻撃は仲介国の努力を妨害している」と軍事作戦を続けるイスラエルを非難した。

 ガザ地区では、人道物資の搬入が滞っている。国連世界食糧計画(WFP)は9日、この2日間、イスラエルが制圧したラファ検問所から援助物資が入っていないと明らかにした。米国防総省は9日、ガザの海上に設置した浮桟橋を通じた、人道支援物資の支援を数日中に始めると発表。ただガザでは食料不足が深刻で飢餓で亡くなる子どもも出ており、十分な食料が行き届くかは全く見通せていない。【エルサレム松岡大地】

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