米南部ジョージア州の州控訴裁は8日、共和党のトランプ前大統領らが2020年大統領選で敗北した同州の結果を覆そうとした罪で起訴された事件で、捜査を指揮したウィリス地区検事が担当として適格性があるか審理すると発表した。トランプ氏側は、ウィリス氏の不正疑惑を挙げて適格性を欠いていると主張し、担当から外すことと起訴の取り下げを求めていた。これにより公判開始が遅れる見通しだ。
事件は、トランプ氏が起訴された四つの刑事事件のうちの一つ。同州フルトン郡の大陪審は23年8月、トランプ氏ら計19人を州法違反の罪で起訴した。
しかし、女性のウィリス氏と特別検察官に任命した男性弁護士が交際し、「不適切な関係」にあった疑惑が浮上。トランプ氏側は、ウィリス氏らが裁判を担当することで受け取った報酬で豪華な旅行をしていたなどと訴え、担当から外すことや起訴を取り下げるよう申し立てていた。
同州判事は24年3月、2人の「不適切な関係」を批判しつつも、金銭的な利益を得ていたとは認定しなかった。その上でウィリス氏が担当を続けることを条件付きで認めていた。これに対し、トランプ氏側はウィリス氏を担当から外すことと起訴の取り下げを求めて控訴していた。
11月の大統領選で返り咲きを狙うトランプ氏は、刑事事件で有罪評決を受けた場合の悪影響を懸念し、裁判の先送りを図ってきた。大統領選の敗北を覆そうとしたとして連邦法違反の罪に問われた事件は3月に予定されていた公判開始が延期された。退任時に機密文書を持ち出した事件も、南部フロリダ州の連邦地裁が5月20日に予定していた初公判を無期限で延期することを7日に明らかにした。公判が始まっているのは、不倫口止め料を不正に処理した財務記録改ざん事件だけだ。【ワシントン西田進一郎】
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