不法移民をアフリカのルワンダに強制移送する法案が成立したイギリスで、入国管理局などが不法入国した人たちの身柄を拘束する映像が公開された。

■“ルワンダ移送”英首相の重要政策

 とある住宅街に向かって走る1台の車。映像には、家を訪れた警察が住人らしき人に手錠をかけ、次々と車に乗せる様子が映っている。

 これは、イギリスに不法入国した人たちを入国管理局などが拘束する様子として今月1日、イギリス当局が公開したものだ。

 イギリスでは、不法に入国した人たちをアフリカ東部のルワンダに強制的に移送するための法案が先月25日に成立した。

 不法移民の“ルワンダ移送”は次の総選挙を見据えたスナク首相の肝煎り(きもいり)の政策だという。

イギリス スナク首相
「(法案は)不法に来た人を移送できるようになる。不法移民問題を適切に解決する唯一の方法だ」

 イギリスには、アフリカなどから難民申請を求めてドーバー海峡をボートで渡るなど不法入国する人々が2021年以降、急増している。

 こうした難民申請者たちへ投じられる予算が年々、財政を圧迫。そこで、打ち出したのが2009年にイギリス連邦に加盟したルワンダへの移送計画だった。

イギリス ジョンソン首相(当時)
「ルワンダは、今後数年間で何万人もの人々を再定住させることができます。ルワンダは、世界で最も安全な国の一つです。ルワンダは移民を歓迎し、統合してきた実績が世界的に認められています」

■英は460億円を援助 ルワンダは宿泊施設を提供

 30年前、内戦による大量虐殺でおよそ80万人が犠牲となったルワンダ。

 しかし今は経済成長率8%を超え、労働力として他のアフリカの国から難民を受け入れている。

 また、日本も経済や技術の面で支援。2019年には、ルワンダのカガメ大統領夫妻が当時の天皇皇后両陛下と皇居で懇談をしている。

ルワンダの国民
「私たちはイギリスからの移民受け入れをありがたく思っています」
「ルワンダの歴史において大量虐殺の結果、多くの難民が発生しました。だから私たちは彼らのことが、よく理解できるのです。私たちが彼らを受け入れることは良いことだし、彼らを応援します」

 イギリスは、受け入れを支援する名目で、去年までにおよそ460億円を援助。一方、ルワンダは難民申請中の宿泊施設などを提供するとしている。

■非人道的と批判も…7月までに移送開始

 先月、イギリスを訪問したルワンダのカガメ大統領。記者からは、「(カガメ)大統領!(難民の)住宅について考えましたか?」「(スナク)首相!ルワンダへの対価がない場合あなたは終わりですよ!」と声がかけられた。

 スナク首相は、7月までに移送を開始すると明らかにしているが、人権団体や移民らが非人道的だと批判している。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年5月3日放送分より)

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