韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案が14日に可決されたことを受け、妻の金建希氏に対するさまざまな疑惑に対し、特別検察官による再捜査が進む可能性が高まっている。
従来は特別検察官を任命するための法案が国会で可決されても、尹氏が拒否権を使って阻止してきた。だが尹氏は職務停止となり拒否権を行使できなくなった。大統領代行の韓悳洙(ハン・ドクス)首相は拒否権を使わず、法案が成立するとの見方が強まっている。
金氏は自動車輸入会社の株価操作事件に関与した疑いがあるほか、知人の牧師から高級ブランドバッグを受け取ったとして請託禁止法違反の疑いも持たれていた。だがいずれも検察が捜査した結果、容疑無しなどとして不起訴処分となっている。
最大野党「共に民主党」などは2023年12月、政府から独立して捜査を進める特別検察官を任命するための法案を提出。国会は野党が過半数を占めており、同法案は可決された。だが尹氏が拒否権を行使した。その後も2度にわたり野党主導で同法案を可決したが、尹氏が拒否権で阻んできた。
国会は12月13日、野党が提出した4度目の同法案を可決した。野党は金氏に関する計15の疑惑について捜査するよう求めている。尹氏は14日に職務停止となり、拒否権は大統領代行の韓氏が持つ。
野党は韓氏に対する弾劾訴追もちらつかせており、拒否権を行使すれば野党に弾劾の大義名分を与えることにもなりかねない。身内を守ってきた尹氏とは違って韓氏は野党との協調を重視しており、拒否権を行使しないとの見方が強まっている。【ソウル福岡静哉】
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