フランスのマクロン大統領は13日、次期首相に中道政党「民主運動」のフランソワ・バイル元法相(73)を指名した。国民議会(下院)で4日、野党の賛成多数でバルニエ前内閣の不信任決議案が可決されるなど政局が混迷する中、極右、左派の両方と良好な関係を持つバイル氏が選出された。
バイル氏はこれまで大統領選に3度出馬。2017年の大統領選でも出馬が取り沙汰されたが、マクロン氏支持に回り、マクロン氏の初当選に大きく貢献した。その後、マクロン大統領、フィリップ首相の政権下で法相に就任したが、秘書給与疑惑などで1カ月後に辞職した。仏政界では豊富な経験と政党の枠を超えた調整力に定評がある。
仏下院は6~7月に実施された解散総選挙で、左派連合、中道連合、極右政党「国民連合」のいずれも過半数を獲得できず、不安定な状態が続いている。マクロン氏は9月、英国の欧州連合(EU)離脱交渉で首席交渉官だったバルニエ氏を首相に指名し、中道連合と中道右派の共和党を中心とする内閣が発足した。
だが、緊縮型の25年予算案を巡って政党間の意見がまとまらず、左派連合と国民連合が共闘する形でバルニエ内閣への不信任決議案が可決された。
マクロン氏は内閣総辞職後、各政党の代表者などと面会し、安定した政権を確立できる首相候補を探っていた。
ただ、政党間の主張の隔たりは依然大きく、組閣や予算審議が難航する可能性がある。フランスでは憲法の規定で、解散総選挙から1年以内に議会を新たに解散することはできず、次回総選挙は最も早くて25年7月となる。【ブリュッセル宮川裕章】
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