韓国の国会は14日夕、野党6党が提出した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾訴追案を採決する。可否のカギを握る保守系与党「国民の力」の国会議員団は「反対」の立場を取っているが、党代表の韓東勲(ハン・ドンフン)氏は12日の党会合で、尹氏が即時退陣を拒否したことを受けて可決が「唯一の解決策だ」と述べ、弾劾案への賛成を呼びかけた。
可決には国会の在籍議員300人のうち3分の2に当たる200人以上の賛成が必要。野党と無所属議員は計192人で、与党の議員108人から8人以上の賛成が必要な情勢だ。韓国メディアによると、13日夕までに与党議員7人が賛成票を投じると表明した。このうち金相旭(キム・サンウク)氏は13日、「弾劾賛成」の看板を掲げて国会前で他の議員らに賛成を呼びかけた。
最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表も同日、与党議員に向け賛成票を投じるよう訴えた。
与党内では韓氏への反発も強く、情勢は流動的だ。国会議員団トップの権性東(クォン・ソンドン)院内代表を中心に40~50人いるとされる「尹派」が議員団の議論を主導し、弾劾案の否決を強く主張する。韓氏に近い議員は20人程度だが、韓氏が国会議員でないこともあり結束は強くない。中間派も賛成を明言する人は限定的だ。
弾劾案が可決され、憲法裁判所が妥当だと認めれば大統領選となる。大統領選は野党が優位になるとみられ、尹派は「弾劾案を可決すれば野党に政権を奪還される」などと訴えている。与党は14日に再度、会合を開き賛否を議論する予定。
世論は弾劾賛成が大勢を占める。世論調査機関「韓国ギャラップ」の13日の発表によると、賛成は75%。尹氏の支持率は過去最低を更新し、11%だった。野党は世論の後押しに期待しており、14日の弾劾案が否決されても、来週に3度目の弾劾案を提出する方針。
捜査当局は内乱容疑で尹氏に対する捜査を進めている。捜査本部の関係者は13日、韓国メディアから「大統領の逮捕令状の申請を検討しているか」と問われ「その点も内部的に検討している」と述べた。尹氏は12日の談話で「弾劾であれ捜査であれ堂々と立ち向かう」と主張している。
一方、趙志浩(チョ・ジホ)警察庁長官の弁護人は13日、韓国メディアに対し、3日の戒厳令の宣布後に趙氏が尹氏から「国会議員を逮捕しろ」などと電話で6度にわたり指示を受けていたと明らかにした。趙氏は3日夜に国会を封鎖したとして、内乱容疑で拘束され取り調べを受けている。【ソウル福岡静哉】
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