環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への英国の加盟に関する議定書発効を控え、ロングボトム駐日英大使は13日、在日英国大使館で記者会見を開いた。TPP加盟により、スパークリングワインなどのアルコール飲料や食品のほか、再生可能エネルギーやサイバーセキュリティーのサービスの対日輸出が拡大することに期待感を示した。
英国は2018年のTPP発効後、初めての新規加盟国となる。20年に欧州連合(EU)を離脱してから、インド太平洋地域への関与を強めていく象徴的な動きと位置づけられている。
英国のTPP加盟に関する議定書の発効日時は加盟国ごとに異なり、日英両国ではそれぞれ現地時間の15日午前0時に発効する。ロングボトム氏は議定書発効を受け「日英2国間の貿易関係を一層深めていく」と言明した。
英国が対日輸出を拡大したいアルコール飲料については、人気が定着しているウイスキー以外にもスパークリングワインを挙げた。食品では「(酪農大国として知られる)フランスよりも種類が多い」として、英国産チーズの輸出増加を望む考えも表明。日本からの輸入品ではコメの流通拡大に期待しているという。
日英間では、すでに2国間の経済連携協定(EPA)が結ばれている。ロングボトム氏はEPAに加え、TPP加盟議定書が発効することで「両国の企業に新たなビジネスチャンスが創出される」と意義を訴えた。
TPPは当初、米国も加盟交渉に加わっていたが、17年に誕生したトランプ政権が「米国第一主義」の立場から離脱を決定。交渉の仕切り直しを経て、参加する11カ国が翌18年に発効させた。
英国はインド太平洋地域について「今後数十年にわたり、世界の経済成長の大部分をけん引する」(ロングボトム氏)と見なし、TPPへの加盟交渉に臨んできた。【大前仁】
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