訪日中のフィンランドのオルポ首相は11日、日本記者クラブで記者会見し、ウクライナ情勢について「ウクライナ国民が望む形をベースにしてしか、和平は成立しない」との見解を表明した。
早期の停戦実現を訴えるトランプ前米大統領の返り咲きを目前に控え、国際社会ではウクライナがロシアに占領された一部領土を諦めてでも、停戦や和平を受け入れるべきだとの主張が繰り返されている。
オルポ氏は「ウクライナは法律を順守した国際的な秩序のためにも戦っている」と指摘。フィンランドとしては、ウクライナへの支援を継続していく立場を示した。ウクライナがロシアに占拠されている領土の割譲に応じる場合でも、ウクライナ自身の決断でなければならないとの考えを強調した。
ウクライナが将来的な北大西洋条約機構(NATO)への加盟に道筋をつけるように求めていることについても、オルポ氏は早期の加盟実現を支持する考えを明かしている。
ロシアに隣接するフィンランドは冷戦時代に、NATOだけでなく、ロシアの前身であるソ連が中核となる軍事機構の「ワルシャワ条約機構」(当時)にも加わらなかった。ソ連崩壊後も中立を貫いていたフィンランドだが、2022年に安全保障政策の転換に踏み切った。ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始したことを受け、NATOへの加盟を申請し、翌年に加盟を実現させた。
「NATO(に加盟したこと)がフィンランドを強固にしたし、フィンランド(の加盟)がNATOもより強くさせた」。オルポ氏は11日の会見でこのように述べ、フィンランドが主体的にNATOの防衛力増強に寄与しているとの考えを示した。【大前仁】
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