韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が出した「非常戒厳」を巡り、検察は9日夜、尹氏に戒厳令を進言した金龍顕(キムヨンヒョン)前国防相について内乱容疑などで逮捕状を請求した。ソウル中央地裁は10日午後、逮捕状発付の是非について審査。11日未明までに結果が発表される見通し。検察は「尹氏と共謀して内乱を起こした疑いがある」と逮捕状に明記しており、地裁が逮捕状を発付すれば、尹氏が立件される可能性が高まることになる。
現職大統領には不訴追特権があるが内乱罪は例外で、大統領も訴追できる。韓国メディアによると、韓国で過去に現職大統領が逮捕された例はない。
聯合ニュースは、検察は金氏が今回の事態で重要な役割を担ったが、内乱の首謀者は尹氏とみていると伝えた。今後、検察が尹氏への強制捜査に踏み切るかどうかが焦点となる。韓国法務省は9日、尹氏を出国禁止措置にしている。
検察は8日に内乱と職権乱用の容疑で金氏の身柄を拘束していた。金氏は国会への軍の投入を指示するなど、3日の戒厳令宣布に伴う作戦を事実上、指揮した。金氏は10日に地裁で開かれた逮捕状発付に関する審査を欠席した。
また検察は事件に関与した疑いがある軍人や政府高官らへの事情聴取も進めている。
一方、国会は10日、尹氏や金氏らに対する捜査を統括する特別検察官を任命するための法案を賛成多数で可決した。尹氏が元検事総長であるため、検察による通常の捜査では公平性を担保できないとして最大野党「共に民主党」が提案していた。聯合ニュースによると採決では与党議員のうち23人も賛成に回った。
特別検察官は野党や法務省次官、弁護士協会会長らが計7人を推薦。そこから1人が選ばれ、政府から独立した捜査を進める。大統領に拒否権はないが、任命権は大統領が持つ。自らを捜査するために野党中心に選んだ特別検察官を、尹氏が任命するかは不透明だ。
共に民主党は11日に尹氏への弾劾案を再び出す予定。否決されても、可決されるまで毎週土曜に弾劾案を出し続ける方針だ。 【ソウル日下部元美】
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