米国のドナルド・トランプ次期大統領が、新政権の厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)を起用すると発表したことを巡り、米ニューヨーク・タイムズ紙は9日、77人のノーベル賞受賞者が人事案を承認しないよう上院に求める書簡に署名したと報じた。「国民の健康を危険にさらし、健康科学における米国の指導力を損なう」と警告した。
反ワクチン活動で知られるケネディ氏を公衆衛生を統括するポストに起用する人事案には、医学・医療界で懸念の声が広がっていた。
同紙が公開した書簡では、ケネディ氏を「エイズなどで顕著に成功した治療法について、陰謀論を推進した」などと指摘。厚生省の傘下にある機関の職員を解雇すると主張している点なども懸念材料に挙げている。マイクロRNAの働きの発見で2024年のノーベル生理学・医学賞を受賞する、マサチューセッツ大のビクター・アンブロス教授ら77人が署名した。
厚生省は、医薬品などの承認を担う食品医薬品局(FDA)や感染症対策を担当する疾病対策センター(CDC)などを管轄する。
ケネディ氏は故ジョン・F・ケネディ元大統領のおいで、父の故ロバート氏も連邦司法長官を務めた。今回の大統領選に無所属で出馬を表明後、8月にトランプ氏への支持に転じた。【ニューヨーク八田浩輔】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。