韓国大統領府で開かれた会談で握手する尹錫悦大統領(右)と野党「共に民主党」の李在明代表=ソウルで29日、聯合・共同

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は29日、最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)代表と初めて会談した。尹氏はこれまで、政権運営が「独善的だ」などと批判されてきた。10日の総選挙での与党大敗を受け、野党との対話姿勢を示しながら政権の「レームダック(死に体)」化を防ぎたい考えとみられる。李氏が示した数々の要求に対し、尹氏が今後どこまで譲歩するかが焦点となる。

 李氏は会談の冒頭で「国政のかじを切る最後のチャンスとの気持ちで、国民の言葉に耳を傾けてほしい」と強調した。大統領府で開かれた会談は予定時間を超過し、約2時間に及んだ。延長の理由について、共に民主党の報道官は「(会談全体の)約85%を尹氏が話したため」と説明。尹氏の対話姿勢は道半ばの模様だ。

 総選挙後の韓国政界では、国会で多数派の野党側が可決した法案に対し、尹氏が拒否権を行使する事態が相次いでいる。このため、李氏は尹氏との会談で、ソウル・梨泰院(イテウォン)での雑踏事故の真相究明に向けた法案などの受け入れを要請した。

 共に民主党の報道官によると、尹氏は雑踏事故の法案に関して、調査や被害者と遺族への支援には共感を示した一方、国の調査委員会の捜査権限を拡大する案には難色を示したという。

 李氏はまた、尹氏の妻、金建希(キムゴンヒ)氏の株価操作関与疑惑などを念頭に「家族らの疑惑も整理してほしい」と会談で要請。日韓の歴史認識問題については「国民の尊厳が傷つけられないよう、積極的に努力してほしい」と求めた。

 大学医学部の入学定員を拡大する政策に反発した医師らが大規模ストを続けている問題では、李氏は「医療改革は必須の主要課題」と述べ、政府に協力する姿勢を示した。【ソウル日下部元美】

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