会談を終え、エリゼ宮(仏大統領府)から出てくるトランプ次期米大統領(右)とフランスのマクロン大統領(中央)、ウクライナのゼレンスキー大統領=パリで2024年12月7日、AP

 ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領と米国のトランプ次期大統領は7日、訪問中のパリでマクロン仏大統領と3者で会談し、ウクライナでの戦況やロシアとの停戦に向けた交渉などについて協議した。トランプ氏は会談後、ロシアに停戦に向けた交渉開始を呼びかけた。

 フランスの各メディアによると、トランプ氏は7日、エリゼ宮(大統領府)で約1時間マクロン氏と会談。その後、ゼレンスキー氏が加わり3者で約30分間会談した。11月の米大統領選でトランプ氏が勝利した後、ゼレンスキー氏と対面で会談したのは初めて。

 ゼレンスキー氏は7日の会談後、X(ツイッター)に「生産的で良い会談だった」と投稿。8日には、戦況や北朝鮮部隊の派遣状況、世界情勢などを協議したことを明かし、「ロシアが過去に繰り返してきたような数年で破棄することができない公正で持続的な和平を望む」とXで述べた。

 トランプ氏は会談後、シリアのアサド政権が崩壊したことに関する投稿で、ロシアとウクライナの戦闘にも触れ、「早急な停戦と(和平)交渉の開始が必要だ。戦闘が継続すれば、より深刻で最悪の状況になる。私はウラジーミル(プーチン露大統領)をよく知っている。彼が動く番だ。世界が待っている」と述べ、ロシアの停戦交渉への参加を呼びかけた。

 ウクライナ東部ドネツクではロシア軍が進軍速度を上げており、ウクライナや西側支援国の間では、トランプ氏がウクライナに不利な形で停戦協議の準備を進めることへの懸念がある。また仮に和平交渉が始まっても、ロシアとウクライナの停戦を巡る条件の隔たりは大きいとみられ、難航が予想される。

 トランプ氏とゼレンスキー氏は仏政府の招待で、パリのノートルダム大聖堂の再開記念式典に出席するため訪仏した。バイデン米大統領は招待されたが日程の調整がつかず欠席。妻ジル氏が出席した。【ブリュッセル宮川裕章、ワシントン松井聡】

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