トランプ次期米大統領(共和党)は8日放送のNBCニュースとのインタビューで、2021年の連邦議会襲撃事件を調査した民主党主導の下院特別委員会のメンバーは「刑務所に行くべきだ」と述べた。米メディアによると、バイデン大統領(民主党)は特別委の委員らに「予防的」に恩赦を与えることを検討しており、トランプ氏の発言を受けて恩赦に踏み切る可能性もある。
トランプ氏はインタビューで、特別委のトンプソン委員長(民主党)やチェイニー副委員長(共和党)の名前を挙げて、「彼らは言い訳できないことをした。1年半にわたる調査で得た証拠を消し去った。重大な罪を犯した」などと一方的に非難した。
「司法長官や連邦捜査局(FBI)長官に捜査を命じるか」との質問には、「そんなことはしない。彼らが状況を確かめるだろう」と述べるにとどめた。過去にバイデン氏の不正の有無を調べるために特別検察官を任命すると述べた点については、「正当な理由が見つからない限りはやらない」と説明した。
次期政権発足後に「政敵への報復」を実行するとの懸念がある点については、「報復は(国家運営の)成功を通じてなされる」と否定した。ただ、バイデン政権は「報復」への懸念を強めており、チェイニー氏ら標的になり得る人物への「予防的な恩赦」を与える検討をしていると報じられている。
一方、トランプ氏は、襲撃事件に関与したとして訴追された自身の支持者らに関して、25年1月の就任直後に一部には恩赦を与える考えを示唆した。
事件は21年1月、20年大統領選の敗北を受け入れない姿勢を見せていたトランプ氏の支持者らが、選挙の公式集計手続きを行っていた連邦議会を襲撃した。民主党のペロシ下院議長(当時)は、民主党議員と共和党の反トランプ派議員で構成する特別委を設置。特別委は22年12月、トランプ氏を反乱の扇動・ほう助などの容疑で刑事訴追するよう勧告。トランプ氏は23年、20年大統領選の結果を覆そうとしたとして起訴された。
トランプ氏は従来、議会襲撃事件について自身の責任を否定。「ペロシ氏に警備強化を要請したのに応じなかったのが原因だ。特別委はこの経緯の裏付けとなる証拠を消した」と根拠なく主張しており、今回の発言もこうした主張に沿ったものだった。【ワシントン秋山信一】
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