シリアで独裁政治を続けてきたアサド政権が崩壊したことを受け、首都ダマスカスなど各地で8日、多くの住民が路上で「自由」を祝った。
今後の統治や治安情勢は依然として不透明だが、市民らは長年の恐怖政治から解放された喜びを爆発させた。一方、アサド氏と同じイスラム教少数派アラウィ派には、報復を恐れる人たちもいる。
「いま起きていることが平和につながることを祈っている」。北部アレッポに住む女性、モハさんは毎日新聞の電話取材にこう語った。
反体制派は先月末にアレッポを制圧すると、そのまま勢いをゆるめず、今月8日未明にダマスカスを掌握した。中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」などによると、ダマスカスでは多くの住民が軍事車両に上ったり、路上でこぶしを上げたりして、反体制派の戦闘員を歓迎した。
中部ハマに住むタカムさんはアラブメディアに「ずっとアサド政権下で生きてきた。今日は太陽も空気も違う」と喜んだ。アラウィ派が多い西部ラタキア県でも、アサド氏の像が引き倒された。
だが、報復を恐れる人たちもいる。ダマスカスに住むアラウィ派の男性は毎日新聞に対し「見つかるのが怖くてずっと家にいる。外に出られない」と明かした。
ダマスカスを制圧した反体制派は国民や戦闘員に対し、報復を避けるよう呼びかけている。だが、こうした呼びかけが現場でどこまで徹底されるかは分からず、治安が安定するかは不透明だ。【カイロ金子淳】
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