写真撮影に応じる欧州委員会トップのフォンデアライエン氏(中央)やブラジルのルラ大統領(右から2人目)など南米各国首脳ら=ウルグアイの首都モンテビデオで2024年12月6日、AP

 南米南部共同市場(メルコスル)と欧州連合(EU)は6日、ウルグアイの首都モンテビデオで首脳級会合を開き、自由貿易協定(FTA)の締結に向けて最終合意した。発効すれば、総人口7億人超、域内総生産(GDP)で22兆ドル(約3299兆円)規模の巨大自由貿易圏が誕生する。

 両者は1999年から協議してきた。世界経済を巡っては、関税引き上げなどを主張するトランプ次期米大統領の復権で保護主義的な主張が強まるとの懸念が出ている。両者には協定を結ぶことで、こうした風潮をけん制する狙いがあるとみられる。

 EUの欧州委員会トップ、フォンデアライエン氏は記者会見で「孤立と分断に向かわせる強い風が吹いている」と強調。「この合意は我々の明確な答えだ」と述べ、自由貿易の重要性を強調した。

 メルコスルには現在、ブラジルやアルゼンチンなどが正式加盟しており、ロイター通信などによると既に合意を支持すると表明している。

 これに対し、EU側では自国の農業への影響を懸念するフランスをはじめ、依然として一部の国が反対。環境保護団体からも南米で農業輸出拡大の機運が高まれば熱帯雨林アマゾンの破壊が助長されるとの指摘があり、今後発効に向けた手続きが難航する可能性がある。【ニューヨーク中村聡也】

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