ニューヨーク証券取引所=米東部ニューヨークで2016年8月、清水憲司撮影

 25日のニューヨーク(NY)株式市場でダウ工業株30種平均は前週末比440・06ドル(0・99%)高の4万4736・57ドルで取引を終え、史上最高値を更新した。トランプ次期米政権の財務長官に投資会社トップでウォールストリート(金融街)の信頼が厚いスコット・ベッセント氏が起用される方向となり、物価上昇(インフレ)再燃など市場混乱への懸念が和らいだ。

 ダウ平均は値上がりして取引を開始。アップルやアマゾン・コムなど幅広い銘柄に買い注文が集まり、上げ幅は一時510ドルを超えた。

 トランプ氏は22日のNY市場の取引終了後、財務長官に金融市場に精通するベッセント氏を起用すると発表。ベッセント氏は減税や規制緩和の推進を主張する一方、インフレ対策の必要性に言及しており「トランプ氏の無謀な公約の実現でインフレが再燃する可能性が減った」(証券アナリスト)と好意的な受け止めが広がった。

 長期金利の指標となる10年物米国債の利回りも低下。「インフレ再燃で米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げペースを遅らせる」との懸念が和らいだ。

 トランプ氏は選挙戦で、全ての国に一律10~20%、中国からの輸入品に一律60%の関税を課すなどと訴えていた。公約がそのまま実行されればインフレが起きると、多くの経済学者らが警告している。【ワシントン大久保渉】

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