交通量の多いニューヨーク市マンハッタンの5番街=2024年1月4日、八田浩輔撮影

 米東部ニューヨーク市で、無期限で延期されていた「渋滞税」の導入計画が大きく前進した。ニューヨーク州のホークル知事(民主党)が通行料を減額した修正案を今月半ばに発表し、連邦当局が22日に来年1月からの開始を承認した。全米初の試みに反対する共和党のトランプ次期大統領の就任前にかけ込み実施を図る。

 対象となるのは、ウォール街やタイムズスクエアを含む中心部マンハッタンの南側3分の1程度のエリア。交通量の多い時間帯に乗り入れる車に1日1回9ドル(約1395円)を課金する。当初は15ドルで今年6月にスタートする予定だったが、生活費の高騰などに対応するためとしてホークル氏が導入直前に無期延期を表明していた。

 市の交通当局によれば、平日に通勤で対象区域に入る市民の9割は公共交通を利用しているという。だが今年4月に発表された世論調査によれば州の住民の3分の2が計画に反対しており、差し止めなどを求めて少なくとも9件の裁判が起きている。トランプ氏も「企業や雇用に打撃を与える」として、就任後すぐに計画を撤廃すると主張する。

 予定通り実施されれば、収入は老朽化した地下鉄やバスなど公共交通インフラ改修などにあてる計画だ。渋滞税は米国外では英国のロンドンやスウェーデンのストックホルム、シンガポールなどで導入され、交通量の削減と大気汚染の改善が報告されている。【ニューヨーク八田浩輔】

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