トランプ次期米大統領は22日、新政権の財務長官に米投資会社トップのスコット・ベッセント氏を起用すると発表した。大統領選でトランプ氏陣営の経済政策アドバイザーを務めていた。財務長官は米経済閣僚の最重要ポストで、トランプ氏が公約で掲げた大型減税や関税引き上げなどの重要政策で指揮を執る。
ベッセント氏はニューヨークに拠点を置く投資会社キー・スクエア・キャピタル・マネジメントの最高経営責任者(CEO)。2011~15年に米著名投資家ジョージ・ソロス氏が率いるファンドで、投資部門の最高責任者を務めた。
規制緩和や原油増産、財政赤字の削減などをトランプ氏に提言。選挙戦でトランプ氏から「ウォールストリート(金融街)で最も優秀な人物の一人」と持ち上げられたことがある。
トランプ氏の掲げる関税引き上げを支持し、15日には米フォックス・ニュースへの寄稿で「関税は歳入を増やす手段であると同時に、戦略的に重要な産業を保護する手段でもある」と指摘。「関税は外交政策を実現するためにも有効」とし、市場開放や防衛予算の増額、不法移民撲滅などを相手国に求める際の交渉材料になると述べていた。
トランプ氏は財務長官人事で、当初、ベッセント氏と米金融会社トップのハワード・ラトニック氏の両氏を検討していた。
大統領選勝利に貢献しトランプ氏の「側近」となった実業家のイーロン・マスク氏は今月中旬、「X(ツイッター)」でラトニック氏が適任との見方を公言。だが、トランプ氏はラトニック氏を商務長官に起用すると発表し、マスク氏の主張とは異なる判断をしていた。【ワシントン大久保渉】
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