日本政府は2050年までにネットゼロ(温室効果ガス排出実質ゼロ)を達成すると表明しているが、明確なロードマップが示されていない――。独NGO「ジャーマンウオッチ」などは20日、各国・地域の気候変動対策を順位付けした報告書「気候変動パフォーマンスインデックス」を公表した。分析対象の64カ国・地域中、日本は23年と同じ58位で、5段階評価で最低グループ(53位以下)だった。
報告書は、アゼルバイジャン・バクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)に合わせて公表された。
ジャーマンウオッチなどは、温室効果ガス排出量▽再生可能エネルギー▽エネルギー消費▽気候変動政策――の4分野に関し、これまでの傾向や現状、目標などを分析。世界各国の気候変動対策やエネルギーの専門家約450人が協力し、ランク付けした。
報告書によると、1~3位は「全ての分野で十分な取り組みをしている国はない」として「該当なし」とした。最高の4位はデンマーク。英国は国内で最後の石炭火力発電所が運転を終了したことなどから、23年の20位から順位を上げ、6位に入った。
日本は、主要7カ国の中で唯一、石炭火力全廃の時期を公表していないことや、再生エネ導入が十分に進んでいないことで、どの分野も低評価だった。報告書は、世界の平均気温を産業革命前から1・5度上昇に抑える目標を実現するためには石炭火力を30年までに段階的に廃止することが必要とし、日本も化石燃料廃止に向けた明確な目標を設定することを求めている。
二酸化炭素(CO2)排出量世界1位の中国は55位、排出量2位の米国は57位。最下位(67位)は、再生エネがほとんど導入されていないイランだった。【バクー山口智】
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