米共和党の下院議員らとの会合で発言するトランプ次期大統領=2024年11月13日、AP

 米共和党のトランプ次期大統領が不倫相手の口止め料を隠すために業務記録を改ざんしたとされる事件を巡り、東部ニューヨーク州の検察は19日、今月26日に予定されていた量刑言い渡しの延期を認める方針を示した。2029年の大統領任期が終了するまで裁判を停止する選択肢も示す一方、訴追手続きの取り下げは否定した。AP通信などが伝えた。

 この事件で、トランプ氏は5月末に大統領経験者として初めて有罪評決を受けた。しかし、連邦最高裁は7月、トランプ氏が絡む別の事件で大統領在任中の公的な行為は原則的に免責されると判断。ニューヨーク州の裁判所は「大統領選に影響を与えようとしているとの誤解を避けるため」などとして、口止め事件を巡る量刑の言い渡しを二度にわたって延期していた。

 トランプ氏の弁護団は、「大統領の統治能力への妨害を避けることが必要だ」として、評決の無効を申し入れていた。AP通信によると、検察側は19日に裁判所に提出した書類で「競合する憲法上の利益とのバランス」を考慮する必要があるとし、任期終了後まで裁判を凍結することも選択肢だとした。

 トランプ氏は、この事件のほか①20年大統領選の結果を覆そうとした事件②大統領退任後に機密文書を持ち出した事件③20年大統領選でジョージア州当局に干渉した事件――の三つで起訴されている。①②の連邦法違反事件は、大統領に就任すれば訴追手続きが取り下げられる見通し。捜査を担当した司法省のスミス特別検察官は、来年1月のトランプ氏の大統領就任前に辞任する方針と報じられている。【ニューヨーク八田浩輔】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。