レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエル軍の戦闘を巡り、ロイター通信は18日、米国が提示した停戦案にレバノン政府とヒズボラが同意したと報じた。ホックスティーン米特使が19日にレバノンを訪問し、停戦合意に向けた協議を行うとみられる。ただ、イスラエル側が受け入れるかは不明で、交渉の先行きは見通せない。
米国の停戦案は、まず60日間の休戦期間を設け、その間にレバノン南部から双方が撤退して恒久的な停戦につなげる内容とされる。
ロイターや米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、ヒズボラを支援するイランの政府高官が15日、レバノンで政府関係者と会談し、イランの最高指導者ハメネイ師も停戦支持の意向だと伝えていた。レバノン側は18日、米国に対して「前向き」なコメントとともに文書で回答を示したという。
一方で、イスラエルは停戦合意について、違反があればヒズボラを再攻撃する権利を要求していると報じられている。
AFP通信によると、イスラエルのネタニヤフ首相は18日、国会で「重要なのは紙の合意ではない。停戦後も(レバノンと接する自国の)北部の安全を確保するため、ヒズボラに対する軍事作戦をやらざるを得ないだろう」と述べた。
パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘に連動して昨年10月から続くヒズボラの砲撃などにより、イスラエル北部では多くの住民が避難を余儀なくされている。イスラエルは「住民の安全な帰還」を目的に掲げ、今年9月末からレバノン南部への地上侵攻を開始。首都ベイルートなど各地に激しい空爆も続けている。【カイロ金子淳】
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