主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が18日、ブラジルのリオデジャネイロで開幕する。飢餓・貧困との闘いや持続可能な開発、気候変動対策などが主要議題で、ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢についても意見が交わされるとみられる。
米大統領選で「米国第一主義」を掲げるトランプ前大統領が返り咲きを決めてから、欧州やアフリカを含む各国の首脳らが集まる初の機会。第2次トランプ政権に備えた国際協調のあり方も議論される模様で、議長国ブラジルなどグローバルサウス(新興・途上国)の動向が注目される。
19日までの会議には、G20メンバーの19カ国と欧州連合(EU)、アフリカ連合(AU)に加え、19の招待国と15の国際機関が参加。石破茂首相やバイデン米大統領らのほか、中国の習近平国家主席も2年ぶりに出席する。ロシアのプーチン大統領は3年連続で欠席し、ラブロフ外相が代理出席する。
プーチン氏を巡っては、国際刑事裁判所(ICC)がウクライナ侵攻に伴う戦争犯罪の容疑で逮捕状を出しており、ICC加盟国のブラジルは入国した場合に逮捕義務がある。プーチン氏は「そのことだけが議論になり、会議が台無しになる」と欠席の理由を述べた。
2022年2月のウクライナ侵攻開始以降、G20は対露姿勢で割れる中、首脳宣言の表現を巡り難しい調整を強いられている。インドが議長国だった23年の首脳宣言は合意と採択を優先し、22年には盛り込まれたロシアを直接非難する文言を避けた。今回は23年10月にイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が始まって以降、初の首脳会議でもある。
ブラジルは首脳宣言で平和を促進するメッセージを打ち出す意向だが、ルラ大統領は今月初旬の仏メディアとのインタビューで「平和については国連で議論すべきだ」と強調。「G20を戦争に関する議論の場にしたくない」と語っている。
トランプ氏は、1期目に離脱した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から再離脱する方針を示す。関税引き上げなど保護主義的な政策も掲げており、首脳宣言にはトランプ氏の復権をけん制する文言が入る可能性もある。【リオデジャネイロ中村聡也】
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