トランプ次期米大統領が国防長官に起用すると発表したピート・ヘグセス氏(左)=東部ニューヨークで2016年12月15日、ロイター

 米共和党のトランプ次期大統領が国防長官に起用すると発表した、元陸軍州兵で保守系ケーブルテレビ局FOXニュースの司会者のピート・ヘグセス氏(44)に対して、資質を疑問視する声が相次いでいる。複数の米メディアによると、過去に性的暴行容疑で捜査を受けていたが、トランプ氏側は把握していなかったという。

 報道によると、ヘグセス氏は2017年に西部カリフォルニア州の警察当局から性的暴行容疑で捜査を受けた。警察は刑事訴追していない。トランプ氏側はヘグセス氏の身辺調査を十分しておらず、暴行疑惑について把握していなかった。

 トランプ氏が大統領首席補佐官に起用するとしているスーザン・ワイルズ氏も13日夜にこの件について説明を受け、ヘグセス氏に問い合わせた。一方、ヘグセス氏の弁護士は「証拠は見つからなかった」と否定している。

 また、ヘグセス氏は白人至上主義との関連が想起される入れ墨があったとして、同僚の兵士から「内部の脅威」だと指摘されたこともあったという。

 ヘグセス氏は、イラクやアフガニスタンでの従軍経験はあるものの、政府や軍の要職に就いたことはない。また米軍内の人種や性別の多様性を批判。女性の戦闘参加に反対したほか、黒人で制服組トップのブラウン統合参謀本部議長の解任も要求した。

 ロイター通信によると、複数の国防総省幹部がヘグセス氏の資質に疑問を呈したほか、民主党内からは「上院は指名を拒否すべきだ」との声が上がっている。一方、共和党内にはヘグセス氏の国防長官起用を支持する声もある。【ワシントン松井聡】

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