11日、カタールの首都ドーハを訪れたイスラム原理主義組織ハマス最高指導者のハニヤ氏(ロイター)

【カイロ=佐藤貴生】パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの戦闘で、停戦交渉を担っているカタールが「仲介役として不適格だ」との批判を受けている。批判はイスラエル政府や米国議員によるもので、交渉が停滞していることも一因とみられる。ただ、カタールが仲介役を降りればハマスとの対話のパイプを維持できなくなるため、イスラエルや米国の依存は続くとの見方が強い。

カタールのムハンマド首相は17日、名指しは避けつつも、不適格だとの批判が「狭量な政治的利益」に発している事例があると述べた。自らの役割を見直す意向も示した。

ロイター通信によると、これに先立つ15日には米民主党のホイヤー下院議員が、停戦を受け入れないならカタールはハマスを脅すべきだと発言。他の米議員も「カタールはハマスを支援している」などと批判してきた経緯がある。カタールの仲介には「問題がある」とするネタニヤフ・イスラエル首相の発言も報じられたことがある。

カタールは自らの役割をどう見直すかには言及していないが、仲介役は続けるとの見方が根強い。米国とハマスの双方と親密な関係にあるからだ。

カタールの空軍基地には1万人規模の米軍部隊が駐留している。一方でカタールは2012年ごろ、ハマス政治部門の事務所開設を認め、指導者ハニヤ氏も身を寄せてきたとされる。

イスラエル有力紙ハーレツ(電子版)は18日、「イスラエルにとってより良い仲介役がいればいいが、そうでないなら(カタールへの)攻撃はやめるのが賢明だ」との見方を伝えた。

米CNNテレビ(電子版)も18日、カタールは米国とハマスの対話を橋渡しできる唯一の国だとし、ムハンマド氏の発言には「批判に不満を抱いていることを強調する」狙いがあったとの識者の見方を紹介した。

カタールはハマスのほか、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンやイランとも関係を維持しており、「調停外交」を売りに国際社会で存在感を強めてきた。

欧米ではこうした方針に批判も出ているが、カタール独自のネットワークが成果を挙げていることも事実だ。昨年11月には、イスラエルとハマスの戦闘休止と一部人質などの交換を実現した。欧米やイスラエルも当面は頼らざるを得ないのが実情とみられる。

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