アフリカ中部のルワンダは「千の丘の国」と呼ばれ、連なる丘陵と緑豊かな自然に恵まれている。標高の高い土地、20度前後の気温が良質なコーヒー豆を育て、名産地としても知られている。
南部フイエにあるコーヒー農園「フイエマウンテンコーヒー」を訪ねると、焙煎(ばいせん)されたばかりの香ばしい匂いが漂う。作業場ではコーヒー豆をかき分けながら、黙々と指を動かす女性たちがいた。手摘みで収穫した豆を工場で洗浄し、天日干しした後、1粒ずつ割れがないか選別しているのだ。それゆえ、品質の高さは海外でも高く評価され、日本との取引も多い。
1994年の大虐殺から今年で30年。旧宗主国ベルギーの分断統治に起因する民族対立で約80万~100万人が犠牲となり、主要産業だったコーヒーの生産は著しく衰退した。内戦後は男性が多く亡くなったこともあり、女性が担える産業としてコーヒー栽培を国が再び推奨。しかし、課題は荒廃した土地を改良する技術や資金不足だった。
好転したのは2011年、国際協力機構(JICA)が村単位で特産品を育て、地域経済を活性化させる「一村一品運動」を開始したこと。水の確保、土壌改良、日陰を作るための植樹活動など技術支援を行った。12年に専門家として視察に訪れたUCC上島珈琲農事調査室長の中平尚己さん(56)によると、当時の畑は荒廃し、30年近く木々が枝切りされていない状態だったという。
外務省のホームページによると、今では輸出の11%を「コーヒー及び茶」が占め、貴重な外貨の獲得源となっている。フイエマウンテンコーヒーも日本の支援を受けた農園の一つ。同農園では地元農家と協力し、年間75トンのコーヒー豆を生産。19人の常勤スタッフの他、収穫期は120人の季節労働者が働き、うち60%を女性が占めるという。
約3時間、勾配のある農園内を案内してくれた健脚なスタッフも女性だった。セリーン・ムカムガンガさん(28)は「女性たちはコーヒーの収穫、乾燥、選別といったあらゆる場面で活躍している」と胸を張った。【北山夏帆】
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