米民主党のハリス副大統領は30日、バイデン大統領が共和党のトランプ前大統領の支持者を「ごみ」と呼んだともとれる発言をしたことについて、「彼は発言の(意図を)明確にしている」とした上で、「私は誰に投票したかという理由で人々を批判することに強く反対する」と述べた。
バイデン氏の発言は選挙戦最終盤の重要な時期に飛び出した。ハリス氏は発言と距離を置くことで選挙への影響を抑えたい考えだが、トランプ氏は30日の集会で早速、発言とハリス氏を結びつけて批判した。
ハリス氏は東部メリーランド州で記者団に、「私の仕事は全ての米国人を代表することだ。私に投票するか否かにかかわらず、全ての米国人ための大統領となるつもりだ」と強調した。
ハリス氏は29日に首都ワシントンで開いた大規模集会でトランプ氏が「分断」を進めていると批判。「全ての米国人の大統領になる」と訴えていただけに、バイデン氏の発言はこれに水を差す格好となった。
一方、攻勢に出ているのがトランプ氏だ。南部ノースカロライナ州の集会で、「ついにバイデン氏は、彼とハリス氏が我々の支持者について思っていることを口にした。『ごみ』と呼んだのは本心だ」と主張。さらに「米国人を愛さなければ、米国を率いることはできない」などと批判した。
バイデン氏はこれまでも「失言」を繰り返してきた経緯があり、米CNNによると、民主党内では以前から選挙戦の重要な時期での失言に対する警戒感があったという。ハリス氏は既に選挙戦ではバイデン氏と距離を置いているが、政権の元高官はCNNに「誰もバイデン氏には表舞台に出てきてほしくないと思っている」と憤った。
物議を醸しているのは、29日の中南米系団体との電話会議でのバイデン氏の発言だ。トランプ氏の支持者のコメディアンが米自治領プエルトリコを「ごみの浮き島」と中傷したことに反論する形で、「私に浮かんで見えるごみは、トランプ氏の支持者たちだけだ」と述べた。ただバイデン氏側は「彼の支持者たち」という意味ではなく、「彼の支持者の(レトリック)」という趣旨だったと釈明している。【ワシントン松井聡】
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