ウクライナ侵攻を支援するため北朝鮮軍の兵士がロシアに派遣された問題を巡り、韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は29日、国会の委員会で軍幹部を含む一部要員が戦線へ移動する可能性があると報告した。出席した議員が報道陣に明らかにした。
尹錫悦(ユンソンニョル)大統領も28日、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長との電話協議で、北朝鮮兵のウクライナ戦線投入が「予想より早く」なる可能性があると述べた。尹氏は同日、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長とも電話協議し、政府代表団を近くウクライナに派遣して情報共有する予定だと説明した。
また、尹氏とウクライナのゼレンスキー大統領は29日の電話協議で、情報共有を緊密にし、両国が連携して対応することで一致した。韓国大統領府によると、尹氏は「朝鮮戦争以降、現代戦を行っていない北朝鮮が、ウクライナ戦争で得た経験を軍全体に反映すれば、韓国の安全保障にとって大きな脅威となる」と危機感を示した。
ゼレンスキー氏は北朝鮮軍の戦闘参加が差し迫っており「経験したことのない新たな局面に入っている」と指摘。韓国に近く、特使を派遣する考えを伝えた。
29日の国会委員会で国情院は、派遣された特殊部隊の兵士は主に20代前半で、10代後半も一部いるとみられると報告した。ロシア軍が軍事用語を教育中だという。北朝鮮政府は派兵について公式発表していないが、国内でもうわさが広まりつつあると指摘。このため軍内で携帯電話の使用を禁止したり、兵士の家族には「訓練に行く」と虚偽の説明をしたりしている。
タス通信などは29日、北朝鮮の崔善姫(チェソニ)外相がロシア公式訪問のため極東ウラジオストクに到着したと伝えた。国情院は、追加派兵や軍事支援の見返りなどを協議するとの見方を示している。【ソウル日下部元美】
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