米国の首都ワシントンにある米紙ワシントン・ポストの拠点=2019年2月、AP

 米公共ラジオNPRは28日、11月の大統領選で特定の候補への支持表明を見送った有力紙ワシントン・ポストの電子版の解約件数が20万件を超えたと報じた。紙媒体も含めた有料購読者250万件の約8%に当たる。伝統的に民主党を支持してきた同紙の支持表明見送りを巡って、リベラル派や民主党支持者から失望の声が上がっていた。

 NPRによると、ワシントン・ポストが支持表明の見送りを発表した25日から28日正午までに20万件以上の解約があった。28日午後にはさらに増えた。コラムニストの退社や論説委員会からの離職も相次いでいるという。

 支持表明見送りは、同紙オーナーでインターネット通販大手「アマゾン」創業者のジェフ・ベゾス氏の意向だと報じられている。論説委員会は民主党候補のハリス副大統領への支持表明を準備していたが、ベゾス氏が共和党のトランプ前大統領が返り咲いた場合に宇宙事業を含む自身のビジネスに悪影響が出るのを懸念したとの見方もある。

 同紙の発行人は「無党派のニュースを届け、読者の判断を助けるのが我々の仕事だ」として、今後の大統領選で支持候補を表明しないと説明していた。

 今回の大統領選では、ロサンゼルス・タイムズやUSAトゥデーも支持表明を見送っている。米社会の分断が深まり、既存メディアへの信頼も低下する中、特定の政党や候補に肩入れしない方が良いという判断があるとみられる。【ワシントン秋山信一】

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