イスラエルのガザ地区への攻撃が続くなか、ガザ出身の学生がエジプトで医師になることを目指しています。故郷に戻れず、変化する心境を取材しました。
エジプト北部にある街、ザガジグ。ガザ地区から来た学生たちが多く通っています。24歳のアワド・アルバタシュさんもその一人。
アワドさん
「医者になるというのは私の幼いころの夢、そして家族の夢だった。母は病気で苦しんでいたので母の願いでもあった」
ガザ地区北部にある故郷ジャバリアに帰省したのは去年9月末のこと。病弱な母と会えたのもこれが最後となりました。
エジプトに戻った3日後、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が始まったのです。緑があふれた美しい景色は、空爆で自宅ともども瓦礫と化しました。
アワドさん
「おばと祖父を失った。友人は少なくとも30人、彼らは爆撃されて殺された」
家族からの援助で学費を工面してきましたが、頼ることはできなくなりました。1カ月の生活費は以前の半分以下まで切り詰めざるを得なくなりました。
家族は攻撃から逃れるなかで離れ離れとなり、別々に避難を続けています。週に1回は連絡を取ってみるのですが…。
アワドさん
「つながらない…寂しい」
戦闘開始から1年が経ってもガザ地区での停戦は見通せず、戦火は周辺国にも拡大しつつあります。こうした状況を目の当たりにし、新たな決意が芽生えました。
アワドさん
「私はヨーロッパで医師としてのキャリアを続けるのが夢だった。でもガザ地区での戦闘が始まった後、気持ちが変わった。ガザに戻って傷付いた人を助けること、これは医師としての義務だ」
「ガザで医者になる」。新たな夢と共に、アワドさんは今、大学卒業前の最後の試験に向け勉強に励んでいます。
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