米共和党のトランプ前大統領が銃撃された7月の暗殺未遂事件をめぐり、国土安全保障省の独立検証委員会は17日、大統領警護隊(シークレットサービス)の抜本的な改革を求める報告書を発表した。組織レベルで「批判的思考の欠如」があったなどとして厳しく非難した。
報告書では「リスクが増大し、技術が進化しているにもかかわらず、大統領警護隊は官僚主義的で自己満足し、変化しようとしない」と批判。大統領警護隊にはより少ないリソースで多くを成し遂げようとする「腐食性の」組織文化がはびこっていると指摘した。
その上で、人員や予算などを「失敗が許されない」要人保護任務に集中する必要があるとし、組織体制の再検討を求めた。大統領警護隊は金融犯罪の捜査なども担っている。組織文化を変えるために外部出身者をトップに置くことも提言し、「抜本的な改革」がなければ類似の事件は再び起こりうると警告した。
事件は東部ペンシルベニア州バトラーの選挙集会でトランプ氏が演説中に銃撃され右耳を負傷。参加者1人が死亡した。報告書によれば、容疑者が発砲した建物の屋上と演壇との距離は140メートル未満だった。事件当時の大統領警護隊の長官は引責辞任した。
ロウ長官代行は報告書を受けた声明で「重要な使命を果たすための絶え間ない努力を続ける」とした。【ニューヨーク八田浩輔】
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