北朝鮮国営の朝鮮中央通信は16日付けで、朝鮮労働党中央軍事委員会の命令に基づき、韓国との間を結ぶ道路と鉄道を15日に爆破したと報じた。この理由として同通信は「大韓民国を徹底した敵対国家として規定した共和国憲法の要求」などを挙げた。10月上旬の最高人民会議(国会)で憲法を改正し、韓国を「敵対国家」と明確にしたとみられる。

 金正恩(キムジョンウン)党総書記は南北の「2国家論」を主張し、韓国との平和統一方針を放棄すると決定。憲法で韓国を「第一の敵対国」と位置づけると表明していた。北朝鮮国営メディアは、10月7、8両日に開催された最高人民会議で憲法が改正されたと報じたが、韓国を敵対国家と規定したことには触れていなかった。南北関係や2国家論について具体的にどのような条文になったかは明らかにされていない。

 韓国軍合同参謀本部は15日、北朝鮮が韓国との間を結ぶ鉄道路線と周辺道路の一部を爆破したと発表し、映像も公開していた。朝鮮中央通信の報道は、この爆発を指すとみられる。同通信は、北朝鮮の主権行使地域と韓国の領土を「徹底的に分離させるための段階別実行の一環」と伝えた。

 同通信は爆破の理由として、憲法の内容に加え「敵対勢力の厳しい政治的、軍事的な挑発策動」によって、予測できない戦争の危機に突き進んでいることを挙げ「必然的かつ合法的な措置」だと正当化した。【ソウル福岡静哉】

北朝鮮軍が韓国とを結ぶ鉄道路線「京義線」周辺の道路を爆破する様子=韓国軍合同参謀本部が15日に提供した映像をキャプチャー

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