集会でロシア国旗を振るプーチン政権支持者たち=モスクワで2016年3月、真野森作撮影

 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)へのノーベル平和賞授与が発表されると、ロシアメディアは11日に相次いで速報した。ただ、受賞の事実関係や第二次大戦で米国が広島と長崎に原爆を投下した史実を淡々と報じたものがほとんどで、その背景には踏み込まなかった。

 ロシアのプーチン大統領は、9月に開かれた安全保障会議で「核抑止力の国家政策指針」(核ドクトリン)の改定案を示した。改定時期には言及しなかったが、「重要なのは状況の進展を予測し、現状に適合させることだ」と強調した。

 改定案では、核兵器使用の条件として、非核保有国から侵略を受けた場合でも核保有国の参加や支援があれば共同攻撃とみなすことなどを新たに提示。また、戦略航空機の飛行が確認されたり、巡航ミサイルなどが大量に発射されたりして、自国国境を越えたとの信頼できる情報が得られた場合に使用を検討するなど、核使用の対象を広げ、定義を詳細に定める内容となっている。

 ペスコフ露大統領報道官は、核ドクトリンの改定案について、ロシアに対する攻撃に参加した国々に対して警告する「シグナル」だと強調。その上で「世界の良識ある人々は、わが国の核の潜在力とその抑止力の役割をよく知っている」と話し、核の脅威をあおることで欧米へのけん制を続けている。【モスクワ山衛守剛】

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