石破茂首相

 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日米中露などが参加する「東アジアサミット(EAS)」が11日、ラオスの首都ビエンチャンで開かれた。出席した石破茂首相は、中国の東シナ・南シナ海での海洋進出を念頭に「国連海洋法条約に基づかない不当な海洋権益の主張や海洋活動は認められない」として、法の支配を支持する考えを示し、南シナ海問題への「深刻な懸念」を改めて表明した。台湾海峡の平和と安定の重要性も強調した。

 会議ではASEANの一部加盟国と中国が領有権を争う南シナ海問題、北朝鮮の核・ミサイル問題、内戦が長期化するミャンマー情勢や中東問題などについて議論が交わされた。

 首相は核・ミサイル開発を加速する北朝鮮が、ロシアとの軍事協力を進展させていることへの「深刻な懸念」も表明。ロシアのウクライナ侵攻に関しては「一日も早くウクライナの公正かつ永続的な平和を実現することが重要だ」と指摘した。中東情勢については、全ての関係者に最大限の自制を働きかけるよう呼びかけた。

 また、日中関係について「東南アジア地域を含め国際社会の平和と繁栄に共に重要な責任を有する国だ」としたうえで、中国との緊密な意思疎通を継続する考えを示した。

 EASには中国の李強首相、ブリンケン米国務長官、ロシアのラブロフ外相らも出席。南シナ海問題やロシアのウクライナ侵攻に関して激しい意見の対立があり、共同声明のとりまとめは難航した。東シナ・南シナ海の状況については複数の参加国から懸念の声が上がり、会議後の記者会見でブリンケン氏は、南シナ海に関して「航行の自由」を改めて主張した。【ビエンチャン影山哲也、バンコク武内彩】

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