パレスチナ自治区ガザでの戦闘が始まって1年がたちました。現地では人間だけでなく、動物たちにも大きな犠牲が出ていて、住民の生活にも影響が出ています。

パレスチナ・ガザ地区。一匹の猫が足をひきずりながら歩いています。

虫がたかり、ぐったりしている犬の姿も。

こちらの犬は、目の上から出血しています。

撮影したのは、ガザで活動する動物保護団体「Sulala」。現状をこう訴えます。

動物保護団体リーダー
「道にはネコがたくさんいます。ガザの至る所で見られる光景です。エサはほとんどなくなりました。動物のエサはありません」

人間同様、動物のエサも不足していて、街中のゴミの山で食べ物を探す動物たちの姿も。

去年10月の戦闘開始以降、死者の数が4万人を超えたガザ。数多くの動物たちもその命を奪われ、傷ついています。

中でも人々の生活に深刻な影響を及ぼしているのが、ロバの犠牲です。

これまではモノを運んだり人を乗せたりと「市民の足」として重宝されてきましたが、戦闘で車が破壊され燃料が不足する今では、ロバは避難のために家財道具を乗せたり、けが人を搬送する“救急車”の代わりになったりしています。

そのため、ロバが死に、傷つくことで、住民の命もさらに脅かされてしまうのです。

「ひどい炎症です」

ロバの治療が行われているのはガザの移動診療所です。

中東各地でロバの保護活動を行ってきたイギリスの慈善団体の支援で、今年3月に設立されました。

診療所リーダー サイフさん
「ロバはミサイルでけがをします。ミサイルの鋭い破片です。わかりますか。破片があたって多くの住民が殺されるのと同じです」

設立以来、救ったロバは800頭以上。人間同様、ロバの薬も足りず、闇市場から5倍もの価格で入手するしかないといいます。

リーダーのサイフさんはガザの住民です。自身の食べ物を手に入れることもままならないなか、世話を続けています。

診療所リーダー サイフさん
「私たちがロバの世話をしなければ、(退避などの)移動がとても難しくなります。ロバが生きられれば、私たちも生きられるのです」

「住民たち、そして動物たちのために、即時の停戦を」サイフさんは訴えています。

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